[O6-01] 高齢者の日常における嚥下頻度と嚥下関連筋の廃用の関連
【目的】
高齢者の嚥下障害は、加齢や疾患による影響を受けているだけでなく、廃用性筋萎縮によって修飾・助長されると言われている。廃用性筋萎縮は可逆性変化であるため、予防や改善のための介入は重要である。廃用性筋萎縮の原因は筋肉に対する機械的負荷の減少であり、荷重頻度による影響が大きいことを示す報告がある。嚥下においては、嚥下頻度の低下により嚥下関連筋量の減少が生じていると推察される。我々はこれまでに、高齢者の日常における嚥下頻度が低下していることを明らかにしてきたが、嚥下関連筋量は調査しておらず嚥下頻度との関連は明らかになっていない。この関係性を解明することができれば、日常における嚥下頻度を上昇させるプログラムの考案などによる廃用性筋萎縮の予防や改善が期待できる。そこで今回、高齢者における嚥下頻度と嚥下関連筋量の関連を明らかにすることを目的として研究を行った。
【方法】
一般病院に入院中の高齢者のうち、本研究に同意した8名(平均年齢84.6(SD10.7)歳)を対象とした。急性症状を有する者は対象から除外した。5名が経口摂取、3名が非経口摂取であったが、経口摂取の有無による区別はせずに評価を行った。測定デバイスを用いて嚥下音を採取、音声解析ソフトにて1時間当たりの嚥下回数を計測し嚥下頻度とした。嚥下関連筋量の測定は超音波診断装置にて行った。喉頭挙上において重要な働きをしており、嚥下機能との関連が報告されているオトガイ舌骨筋の冠状断面積を測定部位とし、嚥下頻度との相関関係を評価した。
【結果と考察】
嚥下頻度は2~25回、平均10.6(SD7.8)回であった。我々が報告した要介護高齢者における嚥下頻度(2~23回、平均9.0(SD5.4)回)に近似しており、入院中の高齢者においても健常成人と比べて嚥下頻度が低下していると考えらえた。オトガイ舌骨筋の冠状断面積は平均0.77(SD0.26)㎠であった。
嚥下頻度とオトガイ舌骨筋の冠状断面積において、正の相関(相関係数r:0.62)を認めた。
高齢者において日常の嚥下頻度が低いと嚥下関連筋量が減少している今回の結果は、嚥下頻度の低下が廃用性萎縮を引き起こす可能性を示すものであった。
今後同様の系で被験者数を増やし検討する予定である。
(COI開示:なし、大阪大学大学院歯学研究科・歯学部及び歯学部附属病院倫理審査委員会承認番号R2-E29)
高齢者の嚥下障害は、加齢や疾患による影響を受けているだけでなく、廃用性筋萎縮によって修飾・助長されると言われている。廃用性筋萎縮は可逆性変化であるため、予防や改善のための介入は重要である。廃用性筋萎縮の原因は筋肉に対する機械的負荷の減少であり、荷重頻度による影響が大きいことを示す報告がある。嚥下においては、嚥下頻度の低下により嚥下関連筋量の減少が生じていると推察される。我々はこれまでに、高齢者の日常における嚥下頻度が低下していることを明らかにしてきたが、嚥下関連筋量は調査しておらず嚥下頻度との関連は明らかになっていない。この関係性を解明することができれば、日常における嚥下頻度を上昇させるプログラムの考案などによる廃用性筋萎縮の予防や改善が期待できる。そこで今回、高齢者における嚥下頻度と嚥下関連筋量の関連を明らかにすることを目的として研究を行った。
【方法】
一般病院に入院中の高齢者のうち、本研究に同意した8名(平均年齢84.6(SD10.7)歳)を対象とした。急性症状を有する者は対象から除外した。5名が経口摂取、3名が非経口摂取であったが、経口摂取の有無による区別はせずに評価を行った。測定デバイスを用いて嚥下音を採取、音声解析ソフトにて1時間当たりの嚥下回数を計測し嚥下頻度とした。嚥下関連筋量の測定は超音波診断装置にて行った。喉頭挙上において重要な働きをしており、嚥下機能との関連が報告されているオトガイ舌骨筋の冠状断面積を測定部位とし、嚥下頻度との相関関係を評価した。
【結果と考察】
嚥下頻度は2~25回、平均10.6(SD7.8)回であった。我々が報告した要介護高齢者における嚥下頻度(2~23回、平均9.0(SD5.4)回)に近似しており、入院中の高齢者においても健常成人と比べて嚥下頻度が低下していると考えらえた。オトガイ舌骨筋の冠状断面積は平均0.77(SD0.26)㎠であった。
嚥下頻度とオトガイ舌骨筋の冠状断面積において、正の相関(相関係数r:0.62)を認めた。
高齢者において日常の嚥下頻度が低いと嚥下関連筋量が減少している今回の結果は、嚥下頻度の低下が廃用性萎縮を引き起こす可能性を示すものであった。
今後同様の系で被験者数を増やし検討する予定である。
(COI開示:なし、大阪大学大学院歯学研究科・歯学部及び歯学部附属病院倫理審査委員会承認番号R2-E29)