一般社団法人日本老年歯科医学会 第33回学術大会

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一般演題(口演発表)

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一般口演8 口腔機能2

2022年6月12日(日) 09:35 〜 10:15 第3会場 (りゅーとぴあ 2F スタジオA)

座長:吉田 光由(藤田医科大学医学部歯科口腔外科学講座)

[O8-03] 口腔機能低下症患者に対する1.5か月間の口腔機能管理の効果

○堀 綾夏、堀部 耕広、竜 正大、上田 貴之 (東京歯科大学水道橋病院老年歯科補綴学講座)

【目的】
 口腔機能低下症の患者に対する口腔機能管理の効果にはいまだ不明な点が多い。そこで今回,口腔機能低下症と診断された外来患者に対して実施される口腔機能管理前後の口腔機能や栄養状態の変化を調査し,その効果を検証することを目的とした。
【方法】
 東京歯科大学水道橋病院補綴科の65歳以上の患者で,口腔機能低下症と診断した者16名(男性8名,女性8名, 平均年齢79.3±6.7歳)を対象とした。口腔機能精密検査,身長,体重,Body Mass Index,食品摂取多様性スコア,握力,年齢,性別,Mini Nutritional Assessment (MNA),Council on Nutrition Appetite Questionnaireの計測を行った。被験者ごとに,低下が認められた項目に対する訓練を毎日行うよう指導した。期間は1.5か月間とした。被験者には,訓練を実施した日を配布したカレンダーに記録させた。加えて,食事バランスガイドを用いた栄養指導を全員に対して行った。管理開始前と1.5か月後について,全参加者の各計測項目をWilcoxonの符号付順位検定で比較した。
【結果と考察】
 管理開始前において基準値未満の人数は,口腔不潔7名,口腔乾燥10名,咬合力低下13名,舌口唇運動機能低下12名,低舌圧9名,咀嚼機能低下2名,嚥下機能低下5名であった。全参加者の管理開始前と1.5か月後の各項目の比較では,舌圧は28.4±6.8kPaから31.9±7.2kPaに,MNAは25.3±2.7から26.6±1.8に増加し,それぞれ前後間に有意差を認めた(p<0.05)。他の項目では,有意差は認められなかった。管理を行うことで,患者が今までよりも口腔や栄養に意識を向けるようになり,口腔機能や栄養状態の維持,改善につながったと考えられる。今回の研究では,口腔機能低下症の検査項目7つのうち,舌圧以外では有意差が認められなかった。これは,本研究対象者において口腔不潔,咀嚼能力,嚥下機能は,管理開始前で低下している者が少なかったことから,天井効果によるものと考えられる。口腔機能低下症患者で舌圧が低下していた者に対して機能訓練を行うことで,舌圧の向上が認められた。さらには,口腔機能管理を行うことで,栄養状態の改善が示された。
(COI開示:なし)                        
(東京歯科大学 倫理審査委員会承認番号 1094)