The 33rd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(口演発表)

一般演題(口演発表) » [一般口演8] 口腔機能2

一般口演8 口腔機能2

Sun. Jun 12, 2022 9:35 AM - 10:15 AM 第3会場 (りゅーとぴあ 2F スタジオA)

座長:吉田 光由(藤田医科大学医学部歯科口腔外科学講座)

[O8-04] 地域在住高齢者における心理的フレイルと咬合力との関連の検討

○明間 すずな、豆野 智昭、高橋 利士、八田 昂大、福武 元良、西村 優一、室谷 有紀、萩野 弘将、辻岡 義祟、三原 佑介、和田 誠大、池邉 一典 (大阪大学大学院歯学研究科 顎口腔機能再建学講座 有床義歯補綴学・高齢者歯科学分野)

【目的】
 フレイルの予防は,高齢者において重要な課題であり,近年注目度が高まっている。これまでに,口腔機能と身体的フレイルとの間に有意な縦断的関連があることが示されているが,フレイルの側面の一つである心理的フレイル(以下,PF)と口腔機能との関連を報告した研究はほとんどない。本研究では,身体的・社会的背景などの交絡因子を考慮した上で,代表的な口腔機能指標として知られる咬合力と高齢者のPFとの関連について横断的に検討することを目的とした。
【方法】
 本研究では,2012年度,2013年度にSONIC研究に参加した,70代と80代の自立した地域在住高齢者1810名(男性:863名,女性:947名)を対象に,身体的・社会的・心理的因子ならびに口腔因子を調査した。心理的因子のうち,認知機能が低下(MoCA-J≦22)ならびに精神健康状態が低下(WHO-5≦12)している者をPFと定義した。PFと咬合力との検討に先立ち,交絡因子を統計学的に除外することを目的に,傾向スコアマッチング法を用いた。傾向スコアは,PFの有無を従属変数とし,PFに影響していると考えられる交絡因子(年齢,性別,教育レベル,経済状態,居住地域,同居状況,がん・脳卒中・心疾患・高血圧・糖尿病の既往歴)を独立変数とするロジスティック回帰によって算出した。傾向スコアの値に基づいてマッチングした2群(PFあり群/なし群)において,Mann-Whitney U検定を用いて咬合力の差の検定を行った。
【結果と考察】
 PFと判定された対象者は,180名(9.9%)であった。傾向スコアマッチング法により,PFあり群176名(男性83名,女性93名),PFなし群176名(男性79名,女性97名)の合計352名が,最終的な分析対象となった。 マッチング後の両群間において,すべての交絡因子に有意差は認められなかった。咬合力の中央値(四分位範囲)は,PFあり群で265.9N(108.9-463.7),PFなし群で315.3N(168.7-549.7)であり,2群の間に有意な差を認めた(p =0.03)。本研究より,交絡因子を調整したうえで,咬合力とPFとの間に負の相関があることが明らかとなり,咬合力の評価は,PFの予防や早期発見に有効である可能性が示された。
(COI開示:なし)
(大阪大学大学院歯学研究科 倫理審査委員会承認番号 H22-E9)