[O9-01] 当院における高齢者の顎骨区域切除における手術工夫
【目的】
近年、マイクロサージャリーの技術進歩により、下顎骨区域切除による組織欠損に対し血管柄付き遊離骨皮弁による顎骨再建が主流となりつつある。しかし、高齢者においては手術侵襲が大きいため再建手法が制限され、顎骨再建後の口腔機能の回復に苦慮することが多い。
当教室では術前に手術工夫を行い、術後の口腔機能の維持を図っている。今回我々は、高齢者の顎再建時に手術工夫を行った7例に対し有用性について検討したので報告する。
【方法】
対象は65歳以上の高齢者で2012年4月から2019年1月までの期間に下顎再建術を施行された7例である。症例は男性2名、女性5名、平均年齢72.6歳、原疾患は扁平上皮癌が6例、エナメル上皮腫が1例であった。硬組織欠損に対し、血管柄付き遊離骨皮弁による再建例は6例、顎骨再建用プレートのみの再建が1例であり、移植骨は肩甲骨が1例、腓骨が5例であった。手術工夫は、全例において術前に3D model surgeryを行った後に再建用プレートを屈曲しSurgical Guide Plate(SGP)を作製した。評価は、術後1か月後、3か月後に食事形態と口腔機能評価を行った。口腔機能評価は咬合力および半量の検査用グミゼリーを用いて咀嚼能率スコアを測定し評価した。
【結果と考察】
手術工夫を行ったことで再建用プレートと下顎骨、移植骨との適合は良好であり、SGPにより術中の顎位や咬合の回復に係わる手術操作は容易となった。また術後再発し不幸な転帰を迎えた1例を除いた全例において食事形態は硬固物での摂食が可能であった。口腔機能評価では、半量の検査用グミゼリーを用いた咀嚼能率スコアはいずれも7以上と良好な結果を得られた。移植骨の種類や有無による変化は見られなかった。咬合力は3例が健常高齢者より低値を示した。
高齢者では手術侵襲が大きいことから移植骨を用いず、再建用プレートのみでの顎骨再建を選択されることが多い。この場合、術後の補綴治療に難渋し、栄養摂取にも苦慮することがある。当教室で行っている手術工夫による顎骨再建では、移植骨の有無や種類、術後の補助療法の有無など様々な症例においていずれも良好な口腔機能の回復が得られていた。今後も引き続き口腔機能の維持を目指した手術工夫を行う予定である。
大阪医科薬科大学 倫理審査委員会承認番号臨-546(2259) COI開示:なし
近年、マイクロサージャリーの技術進歩により、下顎骨区域切除による組織欠損に対し血管柄付き遊離骨皮弁による顎骨再建が主流となりつつある。しかし、高齢者においては手術侵襲が大きいため再建手法が制限され、顎骨再建後の口腔機能の回復に苦慮することが多い。
当教室では術前に手術工夫を行い、術後の口腔機能の維持を図っている。今回我々は、高齢者の顎再建時に手術工夫を行った7例に対し有用性について検討したので報告する。
【方法】
対象は65歳以上の高齢者で2012年4月から2019年1月までの期間に下顎再建術を施行された7例である。症例は男性2名、女性5名、平均年齢72.6歳、原疾患は扁平上皮癌が6例、エナメル上皮腫が1例であった。硬組織欠損に対し、血管柄付き遊離骨皮弁による再建例は6例、顎骨再建用プレートのみの再建が1例であり、移植骨は肩甲骨が1例、腓骨が5例であった。手術工夫は、全例において術前に3D model surgeryを行った後に再建用プレートを屈曲しSurgical Guide Plate(SGP)を作製した。評価は、術後1か月後、3か月後に食事形態と口腔機能評価を行った。口腔機能評価は咬合力および半量の検査用グミゼリーを用いて咀嚼能率スコアを測定し評価した。
【結果と考察】
手術工夫を行ったことで再建用プレートと下顎骨、移植骨との適合は良好であり、SGPにより術中の顎位や咬合の回復に係わる手術操作は容易となった。また術後再発し不幸な転帰を迎えた1例を除いた全例において食事形態は硬固物での摂食が可能であった。口腔機能評価では、半量の検査用グミゼリーを用いた咀嚼能率スコアはいずれも7以上と良好な結果を得られた。移植骨の種類や有無による変化は見られなかった。咬合力は3例が健常高齢者より低値を示した。
高齢者では手術侵襲が大きいことから移植骨を用いず、再建用プレートのみでの顎骨再建を選択されることが多い。この場合、術後の補綴治療に難渋し、栄養摂取にも苦慮することがある。当教室で行っている手術工夫による顎骨再建では、移植骨の有無や種類、術後の補助療法の有無など様々な症例においていずれも良好な口腔機能の回復が得られていた。今後も引き続き口腔機能の維持を目指した手術工夫を行う予定である。
大阪医科薬科大学 倫理審査委員会承認番号臨-546(2259) COI開示:なし