[O9-03] 急性期病院入院患者における経口摂取再開と口腔機能の関連性の検討
【目的】
高齢者は疾患の発症や入院生活を契機に二次性サルコペニアを生じやすく,長期間経口摂取を行わないと口腔機能の低下をきたすことが知られている。口腔機能と嚥下障害に関する報告は蓄積されつつあるが,疾患の急性期における口腔機能と摂食嚥下障害の遷延との関連は明らかではない。そこで,本研究では急性期病院入院中に摂食嚥下支援を必要とした患者を対象に,経口摂取再開と口腔機能の関連について検討を行った。
【方法】
2021年9~12月までの間に摂食嚥下支援チームが介入した当院の入院患者で,口腔機能評価および口腔衛生管理を行なった106名のうち,初回評価時に経口摂取を行なっていない34名(平均年齢79.1±10.7歳)を対象とした。対象者を初回評価から2週間後も経口摂取を開始できていない群(FOIS≤2群)と2週間以内に経口摂取を開始できた群(FOIS≥3群)に分け,初回および2週間後の口腔機能〔OHAT-Jのうち残存歯・義歯・歯痛を除いた5項目(OHAT5/8), 口唇圧,Tongue Coating Index(TCI),口腔湿潤度,残存歯数, オーラルディアドコキネシス(OD), 舌圧〕と身体状況(握力,下腿周囲長)の比較検討を行った。統計学的分析にはMann-Whitney U検定,Fisherの正確確率検定を用いた。
【結果と考察】
FOIS≤2群は12名(平均年齢82.9±7.3歳),FOIS≥3群は22名(平均年齢77.1±11.8歳)で年齢に有意差は認めなかった。初回評価時にFOIS≥3群はFOIS≤2群より,口唇圧(p=0.03),下腿周囲長(p=0.005)が有意に高く,握力,ODが高い傾向を示した。2週間後の評価では,FOIS≥3群はFOIS≤2群より,口唇圧(p=0.004),握力(p=0.03)が有意に高く,OHAT5/8は有意に低かった(p=0.048)。 ODは,FOIS≥3群で高い傾向を示した。両群間で初回から2週間における口腔機能の改善に差はなかった。以上より,摂食嚥下障害発症時の口唇圧,ODおよび身体状況が,早期の経口摂取に関連していることが示唆された。また,口唇圧,ODに着目した口腔機能訓練の必要性が示唆された。
(COI開示なし)(東京歯科大学市川総合病院倫理診査委員会承認番号I 21-34)
高齢者は疾患の発症や入院生活を契機に二次性サルコペニアを生じやすく,長期間経口摂取を行わないと口腔機能の低下をきたすことが知られている。口腔機能と嚥下障害に関する報告は蓄積されつつあるが,疾患の急性期における口腔機能と摂食嚥下障害の遷延との関連は明らかではない。そこで,本研究では急性期病院入院中に摂食嚥下支援を必要とした患者を対象に,経口摂取再開と口腔機能の関連について検討を行った。
【方法】
2021年9~12月までの間に摂食嚥下支援チームが介入した当院の入院患者で,口腔機能評価および口腔衛生管理を行なった106名のうち,初回評価時に経口摂取を行なっていない34名(平均年齢79.1±10.7歳)を対象とした。対象者を初回評価から2週間後も経口摂取を開始できていない群(FOIS≤2群)と2週間以内に経口摂取を開始できた群(FOIS≥3群)に分け,初回および2週間後の口腔機能〔OHAT-Jのうち残存歯・義歯・歯痛を除いた5項目(OHAT5/8), 口唇圧,Tongue Coating Index(TCI),口腔湿潤度,残存歯数, オーラルディアドコキネシス(OD), 舌圧〕と身体状況(握力,下腿周囲長)の比較検討を行った。統計学的分析にはMann-Whitney U検定,Fisherの正確確率検定を用いた。
【結果と考察】
FOIS≤2群は12名(平均年齢82.9±7.3歳),FOIS≥3群は22名(平均年齢77.1±11.8歳)で年齢に有意差は認めなかった。初回評価時にFOIS≥3群はFOIS≤2群より,口唇圧(p=0.03),下腿周囲長(p=0.005)が有意に高く,握力,ODが高い傾向を示した。2週間後の評価では,FOIS≥3群はFOIS≤2群より,口唇圧(p=0.004),握力(p=0.03)が有意に高く,OHAT5/8は有意に低かった(p=0.048)。 ODは,FOIS≥3群で高い傾向を示した。両群間で初回から2週間における口腔機能の改善に差はなかった。以上より,摂食嚥下障害発症時の口唇圧,ODおよび身体状況が,早期の経口摂取に関連していることが示唆された。また,口唇圧,ODに着目した口腔機能訓練の必要性が示唆された。
(COI開示なし)(東京歯科大学市川総合病院倫理診査委員会承認番号I 21-34)