一般社団法人日本老年歯科医学会 第33回学術大会

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ポスター発表2 口腔機能

[P2-01] 口腔機能低下症の4種下位症状における主検査と代替検査の比較

○西 恭宏1、山下 裕輔1、村上 格2、原田 佳枝1、益崎 与泰1、池田 菜緒1、中村 康典3、西村 正宏1 (1. 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科口腔顎顔面補綴学分野、2. 鹿児島大学病院成人系歯科センター義歯補綴科、3. 独立行政法人 国立病院機構 鹿児島医療センター)

【目的】
 口腔機能低下症の下位項目には代替検査の適用が挙げられている。しかし,これらの代替検査と主検査との関係についての報告は少なく,検査としての適切性が十分に検討されてはいない。したがって,これらの主検査と代替検査の結果を対比させて検討することが必要であると考えられる。今回,口腔機能低下症の主検査に代替検査が示されている4項目において検討したので報告する。
【方法】
 2020年2月から2022年1月までの期間に,鹿児島大学病院義歯インプラント科において口腔機能低下症の検査を実施した148名(男性83名,女性65名)において,口腔乾燥(口腔湿潤度とサクソンテスト),咬合力低下(デンタルプレスケール,残存歯,オクルーザルフォースメーター),咀嚼機能(グルコセンサーと咀嚼スコア法変法),嚥下機能(EAT-10と聖隷式嚥下質問)について検討した。統計は,Pearsonの相関分析,χ二乗検定を行った。
【結果と考察】
 対象者は平均年齢76.2歳で,各検査値平均については,口腔湿潤度が25.9,残存歯数が10.6で基準以下であり, その他は基準値を上回った。各項目における主検査と代替検査の相関は,口腔湿潤度とサクソンテストは低い相関(r = 0.204,p = 0.013),プレスケールと残存歯数,プレスケールとオクルーザルフォースメーター,残存歯数とオクルーザルフォースメーター,EAT-10と聖隷式嚥下質問については中等度の相関(それぞれ,r = 0.546, p < 0.001,r = 0.461, p < 0.001,r = 0.571, p < 0.001,r = 0.665, p < 0.001)を示し,グルコセンサーと咀嚼スコアは高い相関(r = 0.716,p= 0.013)を示した。これらの中で,相関が低かった口腔乾燥の2検査において, 口腔乾燥の診断割合に有意差は認められなかったが(p = 0.243),口腔湿潤度で口腔乾燥と診断された人の81.7 % はサクソンテストでは正常であったことから,口腔乾燥の判定に口腔湿潤度とサクソンテストを同等に扱うことは適当ではなく,安静時唾液評価である口腔湿潤度のみを用いるべきであると考えられた。
(COI開示:なし)(鹿児島大学 疫学研究等倫理委員会承認番号 190165疫)