The 33rd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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ポスター発表2 口腔機能

[P2-02] 静電容量型感圧センサシートを用いた新たな咬合力測定装置の併存的妥当性の検討:お達者健診研究

○岩崎 正則1、小原 由紀1、本川 佳子1、枝広 あや子1、白部 麻樹1、渡邊 裕1,2、大渕 修一1、平野 浩彦1 (1. 東京都健康長寿医療センター研究所、2. 北海道大学 大学院歯学研究院 口腔健康科学分野 高齢者歯科学教室)

【目的】
 咬合力を簡易にかつ優れた信頼性で検出することができる静電容量型感圧センサシートとそれを用いた咬合力測定装置(以下,咬合力計)が開発された(医療機器登録番号 23B2X10022000004)。本研究では地域在住高齢者における咬合力計の測定結果を疫学的に記述するとともに,デンタルプレスケールⅡによる咬合力(以下, プレスケール咬合力),および既存の他の口腔機能評価結果との関連を検討した。
【方法】
 新たに開発された咬合力計は,測定対象者が上下歯列間に挿入されたセンサシートを噛んだ際の静電容量変化を検出し,それを咬合力に換算する。換算,計測された咬合力はリアルタイムに確認することができる。また, センサシートは50回まで連続して使用可能である。
 2021年に実施したお達者健診研究参加者596名(平均年齢73.7歳,男性236名,女性360名)を対象に咬合力計による咬合力測定を実施し,測定中に得られた最大値を個人の代表値(以下,咬合力計咬合力)とした。さらにプレスケール咬合力もあわせて測定した。その他,舌圧,咀嚼能力測定用グミゼリーによる咀嚼機能(以下, グミスコア),咀嚼チェックガムによる咀嚼機能(以下,ガムスコア)などの口腔機能を測定した。
 研究対象集団における咬合力計咬合力の性別,年齢階級別の値を記述した後,咬合力計咬合力とプレスケール咬合力,および他の口腔機能との間のSpearmanの順位相関係数を求めた。
【結果と考察】
 咬合力計咬合力の平均(標準偏差)は研究対象集団全体で500.3(250.9)Nであり,男性581.6(284.6)N, 女性446.9(209.9)N,前期高齢者538.4(251.2)N,後期高齢者442.6(239.5)Nであった。咬合力計咬合力はプレスケール咬合力と強い正の相関を示した(相関係数=0.73)。また,グミスコア,およびガムスコアと弱い正の相関(相関係数=0.58および0.45)を示した。
 本研究結果から,咬合力計咬合力について,①地域在住高齢者における平均値は約500Nであること,②プレスケール咬合力との間に併存的妥当性を有すること,③咀嚼機能と正の相関を示すこと,が分かった。今後は口腔機能低下症診断における有用性や身体機能との関連を検討する。
(COI 開示:なし)
(東京都健康長寿医療センター 研究倫理審査委員会承認番号 R21-06)