一般社団法人日本老年歯科医学会 第33回学術大会

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ポスター発表2 口腔機能

[P2-07] 後期高齢者の食事満足度に影響を及ぼす口腔関連要因について
―島根県後期高齢者歯科口腔健康診査解析から―

○齋藤 寿章1、富永 一道2、井上 幸夫1、西 一也2、清水 潤2 (1. 一般社団法人島根県歯科医師会、2. 一般社団法人島根県歯科医師会地域福祉部委員会(委員長:清水 潤))

【目的】
 本研究の目的は後期高齢者の食事満足度に影響を及ぼす口腔関連要因を島根県後期高齢者歯科口腔健康診査(LEDO健診) データを用いて横断的・探索的に検討することである。
【方法】
 島根県後期高齢者医療広域連合から提供された平成29年度LEDO健診データ8762名のうち健診・問診結果の欠損を除外した7587名(男/女:42%/58%,70代/80代:48%/52%)を解析対象とした。[解析1]食事満足度の評価は問診項目の「食事はおいしいですか」の設問から,おいしい・普通・おいしくない,の3群の変数とした。口腔関連要因は口腔構造・口腔機能・口腔感覚・歯科保健行動・服薬数・食事状況とした。食事満足度と基本属性・口腔関連要因の下位尺度の各変数とのクロス集計を行った。[解析2]食事満足度のおいしい非該当/該当2値を目的変数,解析1で有意な関連があった変数を説明変数としてステップワイズ法による二項ロジスティッ ク回帰分析を行い口腔関連要因の代表変数を選択した。食事満足度2値を目的変数として基本属性に次いで口腔関連要因を階層別に強制投入する階層的ロジスティック回帰分析を行い擬似決定係数の変化を観察し影響を及ぼす要因を検討した。
【結果と考察】
 [解析1の結果]口腔関連要因の各変数のうちχ2検定と傾向検定が有意であった15の変数を選択した。[解析2の結果]ステップワイズ法による二項ロジスティック回帰分析により選択された変数は,主観的咀嚼能力,味覚低下,口腔乾燥感,定期歯科受診,服薬数,食事の速さ,調理の工夫有無,肉・魚の摂取頻度であった。階層的ロジスティック回帰分析の結果,影響力が最も強かった要因は口腔機能(主観的咀嚼能力:影響力割合36.7%)で最終階層でのオッズ比は1.88(p値:<0.001)であった。次いで,口腔感覚(味覚低下・乾燥感)>食事状況>服薬数>歯科保健行動の順であった。[考察]口腔機能と口腔感覚が食事満足度に及ぼす影響力は強く,咀嚼能力と味わう感覚が良好であることの重要性が示された。また,肉・魚の摂取頻度が少ない者,食事が遅い者や調理の工夫が必要な者ほど満足度が低いこと,服薬数が多い者や定期歯科受診をしていない者は全身の健康や口腔管理の低下で食事満足度に影響を受けている可能性があることが示唆された。
(COI開示:なし)
(島根県歯科医師会倫理委員会審査:承認番号13号)