一般社団法人日本老年歯科医学会 第33回学術大会

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ポスター発表2 口腔機能

[P2-12] 2施設における口腔機能低下症の検査と管理状況の実態調査

○山下 裕輔1、西 恭宏1、村上 格2、山下 皓三3、原田 佳枝1、益崎 与泰1、堀之内 玲耶1、池田 菜緒1、櫻井 智章1、宮田 春香1、西村 正宏1 (1. 鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科 口腔顎顔面補綴学分野、2. 鹿児島大学病院 成人系歯科センター 義歯インプラント科、3. 鹿児島市 山下歯科)

【目的】
 平成30年度診療報酬改定により,口腔機能の検査と管理が「口腔機能低下症」の病名のもとに評価されるようになった。しかし,まだ口腔機能低下症の検査と管理は広く実施されていないことが報告されており,検査と管理の縦断的実施状況についての情報も不足している。このため,今回,平成30年から口腔機能低下症の検査と管理を行っている2施設において,約3年間における検査と管理の継続状況等について検討したので報告する。
【方法】
 病院補綴診療科である鹿児島大学病院義歯インプラント科(以下,施設A)と歯周治療を専門的に行っている歯科診療所である鹿児島市の1歯科診療所(以下,施設B)において,平成30年7月から令和3年11月の3年4カ月の期間に実施した口腔機能低下症の検査について,横断的検査状況と縦断的検査状況について調査した。(鹿児島大学 疫学研究等倫理委員会承認番号 190313疫)
【結果と考察】
 検査を実施した延べ対象者数は,施設Aが192名,施設Bが326名の合計518名であった。対象者の平均年齢は施設Aが76.3歳,施設Bが76.4歳でほぼ同じであったが,口腔機能低下症の該当率は施設Aが86.5%,施設Bが42.0%,残存歯数は施設Aが9.9本,施設Bが19.4本であり大きな差が認められた。また,10歳代ごとの年齢による口腔機能低下症の該当率の増加は,施設Aでは約5%、施設Bでは約10%であった。検査の継続性を検討するため検査数(前回の検査に対する検査実施割合)は,施設Aでは1回目120回,2回目37回(30.8%),3回目18回(48.6%),4回目9回(50.0%),施設Bでは1回目174回2回目98回(56.3%),3回目39回(39.8%),4回目13回(33.3%)であった。
 これらの結果から,義歯治療患者に対して検査している施設Aと歯周メインテナンス時に検査している施設Bでは,基本的に残存歯数が異なるが口腔機能低下の度合いと年齢に伴う進行度に違いがあり,義歯治療患者の口腔機能管理の必要性はより高いと考えられた。また,検査と管理の継続性については,施設Aは口腔機能低下症該当者が多いのにも関わらず管理は少数に限られており,施設Bでは口腔機能低下症該当者は多くはないが管理の継続が減少しており,管理の継続に関する検討が必要と考えられた。(COI開示:なし)