The 33rd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター発表)

一般演題(ポスター発表) » [ポスター発表2] 口腔機能

ポスター発表2 口腔機能

[P2-13] 口腔乾燥症患者の口腔機能に関する主観的評価—自己チェックリストによる検討—

○水橋 史1、渡會 侑子1、戸谷 収二2、中谷 佑哉2 (1. 日本歯科大学新潟生命歯学部歯科補綴学第1講座、2. 日本歯科大学新潟病院口腔外科・口のかわき治療外来)

【目的】
口腔機能の低下は,フレイルから要介護状態への過程のなかで比較的早期にみられる症状である。口腔機能低下症を放置することにより,低栄養やサルコペニアのリスクが高まり,最終的に摂食嚥下障害を引き起こすといわれている。そのため,口腔機能低下症への早期介入を行い,健康な状態に回復することが重要である。本研究では,口腔乾燥症患者の口腔機能に関する主観的評価について,自己チェックリストによる検討を行った。
【方法】
対象者は,日本歯科大学新潟病院口のかわき治療外来に来院した口腔乾燥症患者48名(男性11名,女性37名, 平均年齢67.3±13.8歳)とした。自己チェックリストは,日本老年歯科医学会の口腔機能低下症患者向けリーフレットに掲載されている9項目(1. 食べ物が口に残るようになった,2. 硬いものが食べにくくなった,3. 食事の時間が長くなった,4. 食事の時にむせるようになった,5. 薬を飲み込みにくくなった,6. 口の中が乾くようになった,7. 食べこぼしをするようになった,8. 滑舌が悪くなった,9. 口の中が汚れている)を用いた。さらに, 対象者を65歳以上(28名)と65歳未満(20名)の2群に分類し,各項目の該当率について年齢層の違いによる検討を行った。
【結果と考察】
自己チェックリストの9項目のうち,最も該当率が高かったのは「6. 口の中が乾くようになった」で対象者の77.1%が該当しており,その他は,食べにくさに関する項目であった。口腔乾燥感は,65歳未満では95.0%が該当していたが,65歳以上では64.3%の該当率であった。また,口腔乾燥感のみに該当していたのは,65歳未満では20.0%であったのに対し,65歳以上では7.1%であった。65歳以上では,口腔乾燥感の他に「3. 食事の時間が長くなった」および「7. 食べこぼしをするようになった」に該当する対象者の割合が多く,65歳未満の約2倍の該当率であった。以上の結果から,口腔乾燥感は,比較的早期に現れる口腔機能低下症状であり,65歳以上では食べにくさに関する症状が増加することが示唆された。口腔乾燥感が現れた場合には,口腔機能低下症の客観的検査を実施して早期の介入を行うことで,さらなる口腔機能低下症状の発現予防に繋がる可能性が考えられた。
(COI開示:なし)
(日本歯科大学新潟生命歯学部 倫理審査委員会承認番号ECNG-R-448)