The 33rd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター発表)

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ポスター発表3 連携医療・地域医療

[P3-01] 回復期リハビリテーション病棟における歯科との連携状況-自記式質問票による全国調査-

○田坂 樹1、日髙 玲奈1、岩佐 康行2、古屋 純一3、大野 友久4、貴島 真佐子5、金森 大輔6、寺中 智7、松尾 浩一郎1 (1. 東京医科歯科大学大学院 地域・福祉口腔機能管理学、2. 原土井病院歯科/摂食・栄養支援部、3. 昭和大学歯学部高齢者歯科学講座、4. 浜松市リハビリテーション病院歯科、5. わかくさ竜間リハビリテーション病院歯科、6. 藤田医科大学医学部 七栗記念病院歯科、7. 足利赤十字病院 口腔治療室)

【目的】
 脳卒中回復期では,ADLの向上とともに経口摂取状況が改善していくため,回復期における適切な口腔機能管理が,口腔問題の解消と口腔機能の向上のために不可欠であると考えられる。しかし, 回復期リハビリテーション(リハ)病棟での歯科医療者の関わりは不十分な状態にあると予想される。そこで,今回われわれは,回復期リハ病棟における歯科との関わりを明らかにするため,全国調査を実施した。
【方法】
 回復期リハ病棟協会の会員の1,235施設を対象とし,歯科との連携に関する無記名自記式質問票を郵送し,回答をもって調査協力への同意を得たものとした。質問内容は,病院における歯科との関わり方,連携による効果, 連携の阻害要因等から構成された。回答が得られた質問票を記述統計にて分析した。
【結果と考察】
 319施設(回収率 26%)から回答が得られた。回答が得られた施設のうち94%の施設で,病棟入院患者に対して歯科治療が実施されていると回答されたが,そのうち74%は,歯科訪問診療であった。病院に勤務している歯科医師と歯科衛生士の人数は,常勤,非常勤含めて中央値でそれぞれ0名であった。病院での歯科治療が始まったきっかけは,病院管理者からの提案が44%と一番多く,連携の効果としては,患者の食形態の向上(68%),病棟スタッフの口腔への意識の向上(57%)等の回答が高い割合を示した。歯科専門職との連携のために重要なことは,医療関係者への周知と普及啓発(68%)や診療報酬上の評価(52%)等が挙げられた。
 本調査では,歯科との関わりがすでにある施設が多く回答していた。そのため, 歯科との連携の阻害要因について明らかにするのは困難であったと考えるが, 回復期リハにおける歯科との連携の仕方について明らかになった。 勤務している歯科専門職はほとんど無い一方で,歯科との関わりによる効果について実感している施設が多くあった。今後は,回復期リハビリテーションにおける歯科介入効果を明らかにしていくことが,歯科連携強化につながると考えた。

本稿に関連し,開示すべき利益相反はない。本研究は,科研費基盤研究B(21H03154)による。(東京医科歯科大学歯学部倫理審査委員会 承認番号 D2021-042)