The 33rd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター発表)

一般演題(ポスター発表) » [ポスター発表3] 連携医療・地域医療

ポスター発表3 連携医療・地域医療

[P3-03] 急性期病院における周術期口腔機能管理を地域歯科医師会の口腔衛生センターと連携した一例

○高橋 賢晃1、西村 三美2、田村 昌三3、山田 幸1、仲澤 裕次郎1、駒形 悠佳1、伊藤 瑞希1、菊谷 武1,4 (1. 日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック、2. 東邦大学医療センター大橋病院、3. 世田谷区口腔衛生センター歯科診療所、4. 日本歯科大学大学院生命歯学研究科 臨床口腔機能学)

【目的】
 急性期病院に入院する患者は,全身状態に加えて口腔清掃状態が不良な者や急性疾患により歯科受診が途絶えた者が多く認められる。よって,入院期間中の口腔内管理として周術期口腔機能管理が推進されている。一方で,歯科標榜のない医療機関に入院する患者が,周術期口腔機能管理を必要とする場合,地域の歯科医院での治療を実施するが,全身管理が必要なことも多く,対応にも限界がある。本症例は,歯科標榜のない急性期病院と大学附属のクリニックおよび地域歯科医師会が連携して全身管理が必要な患者に対して,周術期口腔機能管理に取組んだ一例について報告する。なお, 本報告の発表について患者本人から口頭と文書による同意を得ている。
【症例の概要と処置】
 症例は,80代の男性。腹部大動脈瘤の手術のため入院したが,術前の診査においてう蝕歯が多数認められ,主治医より手術前の歯科治療を依頼された。既往歴は,高血圧症,脂質異常症,陳旧性心筋梗塞であった。ADLは杖歩行可能であり,認知機能の低下はなかった。口腔内所見として,上下に残根歯を認め,臼歯部の咬合支持はなく,アイヒナーB4であった。上下義歯は使用していなかった。口腔内診査の結果,予定手術日までに抜歯処置,う蝕処置,PMTCを行う計画とした。当クリニックより自宅近くの歯科医師会立の口腔センターを紹介し,連携のもと,歯科治療を開始した。センターでの経過として,抜歯前に抗菌薬の術前投与を行い,抜歯時は歯科麻酔科医の判断により笑気吸入鎮静法を用いての治療を数回実施した。センター受診から約1か月後に予定した処置が終了となり,その後再入院し,カテーテル手術を受けた。(日本歯科大学生命歯学部倫理委員会承認番号: NDU-T2021-58)
【結果と考察】
 本症例は, 全身管理を必要とする患者の術前歯科治療を地域のセンターと連携して行った症例である。センター では, 歯科麻酔医によるモニター管理による治療が可能であるため,安全な治療を施行できた。症例を通して, 地域の歯科医師会と連携し,歯科標榜のない急性期病院における地域連携,医科歯科連携を示すことができた。今後,急性期から維持期へのシームレスな口腔機能管理のためには,センターを通じて地域の歯科医院につなぐことが重要と考える。(COI 開示:なし)