The 33rd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター発表)

一般演題(ポスター発表) » [ポスター発表3] 連携医療・地域医療

ポスター発表3 連携医療・地域医療

[P3-05] 有病者に対する口腔健康管理を主とする病院歯科と歯科医師会との連携に関する活動報告

○尾崎 研一郎1,2、寺中 智1,3、河合 陽介1,2、堀越 悦代1、戸原 玄2、水口 俊介3 (1. 足利赤十字病院 リハビリテーション科、2. 東京医科歯科大学 大学院 医歯学総合研究科 摂食嚥下リハビリテーション学分野、3. 東京医科歯科大学 大学院 医歯学総合研究科 高齢者歯科学分野)

【目的】
 足利赤十字病院(以下,当院)では2010年10月より有病者に対する口腔健康管理を主とする病院歯科を当院リハビリ科と協働する方式で開設した。そして急性期病棟や回復期病棟での口腔健康管理を可能にしたが,当院からの訪問歯科診療は行っていなかった。そのため患者紹介を地域歯科医師会とシステム化する必要性があった。 今回,当院が地域歯科医師会と連携して患者紹介するために行った活動と実績について報告する。
【方法】
 対象患者は,当院からの退院・転院後に継続的な口腔健康管理が必要,患者もしくは家族が歯科介入を望む,かかりつけ歯科医院が無いもしくはあっても受診予定がない,を満たす場合とした。紹介をシステム化するにあたり2010年10月より当科歯科医師は,足利市歯科医師会の訪問歯科診療に関わる口腔ケア委員会に所属して,当院での有病者に対する口腔健康管理の現状を説明した。そして当院からの退院・転院後の患者フォローアップ体制の構築について歯科医師会の承認を得た。その結果,2011年1月より当院の地域連携室を通じた紹介システムができた。またかかりつけ歯科医院がない場合は歯科医師会の事務局を経由して,対応できる歯科医院を選定できるように調整した。今回,本紹介システムを使用した患者数を当院医療情報システムより2012年4月から2020年3月までを対象期間として後方視的に調査した(足利赤十字病院 倫理委員会 番号2020-12)。
【結果と考察】
 本紹介システムを使用した紹介患者数は2013年度 64人 (歯科介入患者対する割合:9.2%),2014年度 123人(11.0%),2015年 159人(9.2%),2016年 115人(5.6%),2017年 79人(4.0%),2018年 101人(5.2%),2019年152人(9.3%),2020年 199人(10.5%)であり,8年間の歯科介入患者に対する紹介患者割合の平均は8.0%であった。
本調査では,紹介に対する返書数については調査しておらず,退院・転院後に継続して口腔健康管理ができた実数は不明である。今後は,紹介後の追跡調査ならびに口腔外科疾患以外でも地域歯科医師会と連携が取れる病院歯科の在り方について議論を重ねるつもりである。謝辞:足利市歯科医師会会員ならびに当院地域連携室へ深謝いたします。(COI開示:なし)