The 33rd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター発表)

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ポスター発表3 連携医療・地域医療

[P3-06] 地域におけるミールラウンドを普及させるための取り組み

○佐川 敬一朗1,2 (1. 佐川歯科医院、2. 一般社団法人鹿沼歯科医師会)

【目的】
 ミールラウンドは、施設等における食事摂取が困難な利用者に対する食支援の取り組みである。多職種が協働して、食事摂取の問題を抽出し、食事観察を行った上で、利用者が適切な栄養摂取が可能となるように支援を行う一連のプロセスである。その中で、歯科医師は中心的な役割を担うことが求められる。地域における食支援を推進させるために、ミールラウンドの取り組みが広まることが期待されている。しかしながら、ミールラウンドを実施可能な歯科医師は地域には少ない現状がある。その理由として、摂食嚥下に関する知識の習得や、施設におけるコミュニケーション技法等を学習する必要があり、地域開業医には取り組みを開始するにはハードルが高い現状がある。今回、ミールラウンドを普及させるための取り組みを開始したため報告を行う。
【方法】
 一般社団法人鹿沼歯科医師会の会員の中で5名の協力医をリクルートした。令和3年6月より、オンラインミーティングを活用し、ミールラウンドに関する研修を行った。また、グループホームにおいてミールラウンドの実地研修を開催した。ミールラウンドの結果、歯科治療の介入が必要な利用者に対しては、協力医に依頼するシステムを構築した。6か月の研修後、協力医に対してミールラウンドについて学習した感想についてアンケートを行った。発表に際しては匿名性に配慮し対象者の自由意志で行う。
【結果と考察】
 協力医に対して、計6回のオンラインミーティングおよび計12回の実地研修を開催した。研修後のアンケート結果として、「参加する前は意義を理解できていなかったが、回を重ねる内に食支援の実際が理解できた。」「歯科治療の目的として食支援を意識するようになった。」「ミールラウンドを学ぶ機会が無かったが、学ぶことの重要性が感じられた。」「食事観察前後のカンファレンスにおいて、施設職員から適切に情報を聴取し、指導に繋げていく、コミュニケーションの取り方が重要であると感じた。」等の感想が寄せられた。また、5名の協力医の日本老年歯科医学会への入会に繋がった。オンライン研修と実地研修を組み合わせることが、ミールラウンドに必要な知識を習得させる上で効果的であると感じられた。今後、地域における食支援を推進してくために、ミールラウンドを実施可能な協力医を増やす取り組みを継続していくことが重要であると考えられた。
(COI開示なし 倫理審査対象外)