一般社団法人日本老年歯科医学会 第33回学術大会

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ポスター発表4 実態調査

[P4-03] 医科歯科総合病院における連携プロトコル再構築後の1年間の取り組み

○杉本 清楓1、縄田 和歌子1、中島 正人2、福田 安理2,3、森田 浩光2、牧野 路子2 (1. 福岡歯科大学医科歯科総合病院 歯科衛生士部、2. 福岡歯科大学総合歯科学講座 訪問歯科センター、3. 社会医療法人天神会新古賀病院 歯科)

【目的】
 地域包括ケアシステム構築のために,入院中の口腔管理および他施設や多職種との連携は欠かすことができない。当院は歯科だけでなく,医科も併設しており,近隣の高齢者施設や地域在住高齢者の地域密着型病院として機能している。そこで,地域密着型病院として,入院中の口腔管理や他職種との連携をより深めるために,病院内の連携プロトコルを再構築するに至った。このプロトコルの運用性を評価するために,連携プロトコル再構築後の口腔管理状況を調査したので報告する。
【方法】
 当院において,2020年10月から2021年9月までの1年間に,当院の口腔管理連携プロトコルに従って,歯科衛生士が当院において口腔管理を行った患者を対象とした。対象となった患者は,男性114名,女性120名の234名であり,平均年齢は66.6±21.1歳であった。診療録より,年齢,性別,口腔管理の依頼元,口腔衛生管理,周術期等口腔機能管理の状況を調査した。
【結果と考察】
 連携プロトコルを介して,口腔管理を行った患者は延べ250名であり,依頼元が医科である患者は延べ239名(95.6%),歯科である患者は延べ11名(4.4%)であった。医科の内訳としては,外科97名(40.6%:男性46名,女性51名),内科66名(27.6%:男性27名,女性39名),耳鼻咽喉科57名(23.8%:男性26名,女性31名),その他20名(8.3%:男性9名,女性10名)であった。それぞれ平均年齢は,外科66.6±16.0(平均±S.D.)歳,内科81.3±12.7歳,耳鼻咽喉科51.0±24.5歳であった。平均年齢において内科が最も高かった。また, 歯科衛生士が行った口腔衛生管理数は1年間で976件であった。手術や化学療法のための周術期等口腔機能管理を行ったのは,1年間で102名であり,医科からの依頼は72名,歯科からの依頼は23名であった。この調査において口腔衛生管理数は着実に増加したことから連携プロトコル再構築の有効性が示された。また,口腔管理の依頼元により平均年齢や性別構成が異なったことから,当院のような歯科を併設する一般病棟では口腔管理に対する多様なニーズがあることが分かった。このようなニーズに応えるために,病棟に常駐する歯科衛生士の口腔衛生管理の重要性と多職種との密な連携の必要性が示唆された。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)