The 33rd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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ポスター発表4 実態調査

[P4-04] 当院における歯科訪問診療依頼の実態

○稲葉 華奈子、谷口 礼奈、中西 真由美 (医療法人社団あさがお会あさがお歯科)

【目的】
 超高齢社会をむかえた日本では,歯科訪問診療の需要はますます高まると考えられる。それにより要支援・要介護高齢者の歯科訪問診療の受診をサポートする存在である家族や介護職員,ケアマネジャー(CM)等の口腔の健康に対するさらなる意識の向上は今後重要な課題となると考える。そこで今回我々は,当院の過去の歯科訪問診療依頼の実態を調査・分析することで今後の歯科訪問診療における多職種連携に向けた改善点などを検討していくこととした。
【方法】
 対象は,2019年1月から8月まで,当院に歯科訪問診療の依頼のあった患者579名(男性230名, 女性349名, 平均年齢83.6±9.1歳)とした。
 カルテ(当院が使用している依頼ツール)から,依頼の種類を分類し,個人情報に留意した上で年齢, 性別, 主訴(複数可),訪問場所,依頼元(申込者),訪問理由(複数可)を抽出した。
【結果と考察】
 依頼は, 新規依頼と急患依頼に分類し, 新規依頼255件, 急患依頼324件の計579件であった。新規依頼の主訴として, 義歯不適合が最も多かったのに対し, 急患依頼は痛い・しみるが最も多く,次いで義歯不適合が多かった。 訪問場所は,両依頼ともに居宅が多数であった。依頼元は,新規依頼ではCMを通じてが過半数をしめ,急患依頼では施設スタッフや家族が多かった。訪問理由は両依頼ともに,下肢筋力低下などによる歩行困難が最も多く, 次いで認知症であった。主訴は両依頼とも,義歯不適合や痛みの訴えがあった場合か,第三者が気付く明らかな症状が発現してからが殆どであった。しかし,多くの依頼の中には,自身での口腔管理が身体能力の低下などにより,疎かになってしまったことが原因で起きた症状も多くみられ,これらは早い段階で歯科が定期的に関与していれば未然に防ぐことができたものも多いと考える。症状がなくとも自身や家族,その他介護職員等による口腔内の清掃が適切に行えなくなってしまった段階で歯科訪問診療を利用して頂き,専門的な口腔機能管理を定期的に行うことで口腔内のトラブルを未然に防ぐことは患者自身のQOL向上にも繋がると考えられる。今後は,口腔機能管理の重要性を家族や介護職員,CM等に広く認識して頂けるよう診療だけではなく,勉強会の開催や,リー フレットを配布するなど情報を発信していく必要があると考える。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)