[P4-09] アルツハイマー型認知症の嗅覚・味覚機能と体格と関連についての報告
【目的】
われわれは要介護高齢者の低栄養予防を目的に嗅覚,味覚,食欲の研究をしている.先行研究では要介護高齢者と非要介護高齢者の2群間において,要介護高齢者の嗅覚機能は要介護高齢者が明らかに低下し,要介護高齢者の味覚機能は明らかな差を認めなかったことを報告した.さらに要介護高齢者の食欲は嗅覚機能および体格との関連は認めず,味覚機能と正の相関を認め関連を示唆した.しかしながら嗅覚機能は神経変性疾患の影響を受けて障害されることが知られており,先行研究においてこの背景疾患が影響して嗅覚機能の低下を認める対象者も含まれていた可能性もある.このことから背景疾患別に明らかにすることによって,低栄養予防により取り組みやすくなると考えた.そこで本研究は神経変性疾患の代表的な疾患かつ要介護状態になる主な疾患でもあり,食事摂取量が見当識障害や失認・失行により低下し低栄養のリスクが高いアルツハイマー型認知症を対象に調査した. なお,本研究の開示すべきCOIはなく,倫理審査は大阪大学大学院歯学研究科・歯学部および歯学部附属病院倫理審査委員会(承認番号:H29‐E24-1)である.
【方法】
対象者はFAST1~6のアルツハイマー型認知症の診断がある要介護高齢者42名(平均年齢88.2±5.7歳)とした.調査項目は嗅覚検査:OSIT-J(基準値9/12点以上),味覚検査:ソルセイブ(基準値0.6 mg/cm∧2以下), 食欲:CNAQ(基準値29/40点以上),体格:BMI(基準値22 kg/m∧2),服薬数の5項目である.これらの項目のうち目的変数をCNAQおよびBMI,説明変数を目的変数以外の項目として,それぞれ重回帰分析を行った.
【結果と考察】
調査項目の平均はOSIT-J:1.2±1.5点,ソルセイブ:0.8±0.4mg/cm∧2,CNAQ:30.6±3.1点,BMI:21.2±3.3kg/m∧2,服薬数:6.0±3.0剤となった.重回帰分析の結果,CNAQはR=0.25で関連を認めたものは無く,BMIはR=0.29でOSIT-Jと正の相関で関連を認めた.
今回の結果は要介護高齢者の傾向とは異なり,アルツハイマー型認知症者の食欲は嗅覚および味覚と関連は認めなかった.また,アルツハイマー型認知症者の体格は嗅覚との相関を認めたことから,体重変化と嗅覚機能は関連している可能性が示唆された.
われわれは要介護高齢者の低栄養予防を目的に嗅覚,味覚,食欲の研究をしている.先行研究では要介護高齢者と非要介護高齢者の2群間において,要介護高齢者の嗅覚機能は要介護高齢者が明らかに低下し,要介護高齢者の味覚機能は明らかな差を認めなかったことを報告した.さらに要介護高齢者の食欲は嗅覚機能および体格との関連は認めず,味覚機能と正の相関を認め関連を示唆した.しかしながら嗅覚機能は神経変性疾患の影響を受けて障害されることが知られており,先行研究においてこの背景疾患が影響して嗅覚機能の低下を認める対象者も含まれていた可能性もある.このことから背景疾患別に明らかにすることによって,低栄養予防により取り組みやすくなると考えた.そこで本研究は神経変性疾患の代表的な疾患かつ要介護状態になる主な疾患でもあり,食事摂取量が見当識障害や失認・失行により低下し低栄養のリスクが高いアルツハイマー型認知症を対象に調査した. なお,本研究の開示すべきCOIはなく,倫理審査は大阪大学大学院歯学研究科・歯学部および歯学部附属病院倫理審査委員会(承認番号:H29‐E24-1)である.
【方法】
対象者はFAST1~6のアルツハイマー型認知症の診断がある要介護高齢者42名(平均年齢88.2±5.7歳)とした.調査項目は嗅覚検査:OSIT-J(基準値9/12点以上),味覚検査:ソルセイブ(基準値0.6 mg/cm∧2以下), 食欲:CNAQ(基準値29/40点以上),体格:BMI(基準値22 kg/m∧2),服薬数の5項目である.これらの項目のうち目的変数をCNAQおよびBMI,説明変数を目的変数以外の項目として,それぞれ重回帰分析を行った.
【結果と考察】
調査項目の平均はOSIT-J:1.2±1.5点,ソルセイブ:0.8±0.4mg/cm∧2,CNAQ:30.6±3.1点,BMI:21.2±3.3kg/m∧2,服薬数:6.0±3.0剤となった.重回帰分析の結果,CNAQはR=0.25で関連を認めたものは無く,BMIはR=0.29でOSIT-Jと正の相関で関連を認めた.
今回の結果は要介護高齢者の傾向とは異なり,アルツハイマー型認知症者の食欲は嗅覚および味覚と関連は認めなかった.また,アルツハイマー型認知症者の体格は嗅覚との相関を認めたことから,体重変化と嗅覚機能は関連している可能性が示唆された.