The 33rd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター発表)

一般演題(ポスター発表) » [ポスター発表4] 実態調査

ポスター発表4 実態調査

[P4-16] 精神科病院における歯科衛生士の役割と重要性

○西澤 光弘1,2、荒木 俊樹1,3 (1. 医療法人群栄会田中病院 歯科、2. 山王歯科、3. 荒木歯科医院)

【目的】
 当医療法人は精神科、診療内科、内科を主体とし、歯科のほか介護老人保健施設、有料老人ホーム、認知症グループホーム、精神科グループホーム、社会復帰施設などを併設し、多くの入所者を抱えている。そのため入所者が抱える疾患は多岐にわたり、多数の疾患が併発していることも多い。歯科に通院する患者の多くはそのような患者で、その人の病気や状態、環境に合わせた対応が必要となる。
【方法】
 当歯科における歯科衛生士の役割は、受付・予約から始まり治療と介助、器具の準備や片づけといった歯科医院における一般的な役割に加えて、特にコロナ禍の現在ではいわゆる持病のある高齢者が多く受診するためユニットや器具の消毒・滅菌という作業に時間を費やしている。また、高齢者や認知症の患者に大きな声や介助で移動を促がしたり四肢の不自由な患者をユニットに移乗させるなどのいわゆる力仕事や、最も煩雑な作業は歯科受診する入所者の状態や内服薬、基礎疾患などの情報を病棟スタッフや医療事務、レセコンなどから確認しそれをもとに受診したのち、施設や病棟では見落とされていた口腔の状態を病棟などにフィードバックすることである。その他、施設の歯科健診や口腔ケアのスケジュール管理や結果の記入、とくに精神科病棟や療養病棟の入所者は隔離や寝たきりのことも多く、治療が可能かどうかを事前に審査し必要な器具を準備する。また移動ができない入所者の場合には往診にて治療を行うなどしている。このように病棟、施設によって病気や状態、その日の行事も異なるが、その全てを把握し歯科との仲介役を行うのが当院の歯科衛生士の役割である。
【結果と考察】
 近年、病院を取り巻く経営環境は厳しさを増すが、質の高い医療の提供や多職種連携によるオーダーメイドな治療方針の提案など、ソフト面の改善も経営には重要であると考えている。歯科は病院経営にとっては不採算部門と思われがちであるが、口腔ケア、摂食嚥下、NST、肺炎予防、フレイル、早期離床など病院内で歯科が関与できるキーワードも多くあり、口腔管理の指導者として多職種連携のリーダー的役割を歯科衛生士が担うなど数字で表れない入所者への貢献も多い。今後も入所者のQOLの向上など病院における歯科衛生士の役割を重要視されるよう望んでいる。(COI 開示:なし) (医療法人群栄会 倫理審査委員会承認番号 20211224)