The 33rd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター発表)

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ポスター発表5 加齢変化・基礎研究

[P5-02] マクロファージの強制的枯渇がBRONJ様病変の硬軟組織治癒に与える影響の検索

○小堤 涼平、佐々木 宗輝、黒嶋 伸一郎 (長崎大学大学院医歯薬学総合研究科口腔インプラント学分野)

【目的】
 高齢化に伴いヒトの免疫機能は低下する.当研究室ではビスホスホネート(BP) 製剤関連顎骨壊死(BRONJ)の基礎・臨床研究を行い,病態形成にマクロファージが関与する可能性を見出してきた.マクロファージは,自然免疫と獲得免疫の両者に重要な役割を果たす免疫細胞の一つである.そこで本研究は,マクロファージの強制的枯渇が抜歯誘発型BRONJ様病変の硬軟組織治癒に与える影響を検索することを目的とした.
【方法】
 はじめにBRONJ様病変モデルマウスの作製を行った.抗癌剤であるシクロフォスファミド(CY)とBP製剤の併用投与(CY/Zol)を5週間行い, 薬剤投与3週間後に上顎両側第一大臼歯を抜歯してその2週間後に屠殺した. 対照群は生理食塩水投与群(VC)とした(各群n = 7).一方,別のBRONJ様モデルマウス群では,マクロファージの強制的枯渇が可能なクロドロネート・リポソームシステムを用い,抜歯直後から2週間,右側頬粘膜下にクロドロネート・リポソームを毎日投与した.対照群はPBS・リポソーム投与群とした(各群n = 5).全てのマウスは屠殺後に血清,脛骨,大腿骨,上顎骨ならびに脾臓を採取し,マイクロCT撮像,各種組織染色,蛍光免疫染色,および酵素結合免疫吸着測定法を行い,3次元的骨構造解析,組織病理学的解析,免疫病理学的解析,ならびに血清解析をそれぞれ行った.
【結果と考察】
 まず,BRONJ様病変マウスの評価を行った.全群で創部閉鎖を認めたVCと比較してCY/Zolは高頻度に創部開放を認め,空の骨小腔数と壊死骨が有意に増大しBRONJ様病変を呈していることが確認された.クロドロネー ト・リポソーム投与群では脾臓のマクロファージを著しく減少させていたことから,その薬剤効果を確認できた. 一方,BRONJ様病変を作製可能なモデルマウスにクロドロネート・リポソームを2週間連続粘膜下投与した結果, 通常のBRONJ様病変と比較して有意に空の骨小腔数増加を伴う壊死骨の増大、生きている骨の減少,そして創部開放状態も有意に悪化せていた.また,抜歯部結合組織のマクロファージも著しく減少していた.以上から,創部もしくは全身に存在するマクロファージは,BRONJの病態形成にとって重要な働きをしていることが強く考えられた.
(COI開示:なし)
(長崎大学倫理委員会承認番号1708241404-5)