[P5-04] 加齢によるTRPV1およびTRPV2発現の変化が口腔粘膜の疼痛感受性に及ぼす影響
【目的】
加齢は疼痛感受性に影響を及ぼすことが報告されている。しかし,皮膚と比較して口腔粘膜の疼痛感受性に与える影響は不明である。近年,侵害熱及び機械刺激の受容体としてTransient receptor potential Vanilloid 1 (TRPV1) 及びTRPV2が注目されており,口腔粘膜を支配する三叉神経節(TG)ニューロンにも発現することが報告されている。そこで,本研究では老化促進モデルマウス(SAMP8)を用い,加齢によるTGニューロンでのTRPV1及びTRPV2発現変化が,熱及び機械刺激に対する口腔粘膜の疼痛感受性に及ぼす影響を検討した。
【方法】
SAMP8マウスは,23週齢(老齢)と7週齢(若齢)を使用し,各実験で加齢の影響を比較検討した。まず,浅麻酔下にて,口蓋粘膜にヒートプローブを用いた熱刺激,あるいはデジタルフォンフライを用いた機械刺激を加え,熱疼痛閾値(HHWT)あるいは機械疼痛閾値(MHWT)を測定した。次に,神経逆行性トレーサーであるFluoro Gold(FG)を口蓋粘膜に注入した後,FG標識TRPV1あるいはTRPV2陽性TGニューロン数を免疫組織化学的に解析した。さらに, TRPV1アンタゴニスト (SB366791) あるいは, TRPV2アンタゴニスト(Tranilast) を口蓋粘膜に投与した後, HHWT及びMHWTの変化を測定した。(日本大学動物実験委員会承認番号 AP18DEN017-2)
【結果と考察】
老齢マウスは,若齢マウスと比較して,有意な HHWTの上昇と,有意なMHWTの低下を認め,TRPV1陽性TGニューロンが有意に少なく,TRPV2陽性TGニューロンが有意に多く発現した。SB366791投与により,若齢マウスはHHWTの有意な上昇を認めたが,老齢マウスでは有意な変化を認めなかった。また,MHWTは,若齢及び老齢マウス共に有意な変化を認めなかった。Tranilast投与によるHHWT及びMHWTは,若齢マウスは有意な変化を認めなかったが,老齢マウスでは有意な上昇を認めた。以上より,加齢により口腔粘膜の熱および機械刺激に対する疼痛感受性は変化し,TGニューロンにおけるTRPV1およびTRPV2発現の加齢変化に依存していることが示唆された。(COI開示:なし)
加齢は疼痛感受性に影響を及ぼすことが報告されている。しかし,皮膚と比較して口腔粘膜の疼痛感受性に与える影響は不明である。近年,侵害熱及び機械刺激の受容体としてTransient receptor potential Vanilloid 1 (TRPV1) 及びTRPV2が注目されており,口腔粘膜を支配する三叉神経節(TG)ニューロンにも発現することが報告されている。そこで,本研究では老化促進モデルマウス(SAMP8)を用い,加齢によるTGニューロンでのTRPV1及びTRPV2発現変化が,熱及び機械刺激に対する口腔粘膜の疼痛感受性に及ぼす影響を検討した。
【方法】
SAMP8マウスは,23週齢(老齢)と7週齢(若齢)を使用し,各実験で加齢の影響を比較検討した。まず,浅麻酔下にて,口蓋粘膜にヒートプローブを用いた熱刺激,あるいはデジタルフォンフライを用いた機械刺激を加え,熱疼痛閾値(HHWT)あるいは機械疼痛閾値(MHWT)を測定した。次に,神経逆行性トレーサーであるFluoro Gold(FG)を口蓋粘膜に注入した後,FG標識TRPV1あるいはTRPV2陽性TGニューロン数を免疫組織化学的に解析した。さらに, TRPV1アンタゴニスト (SB366791) あるいは, TRPV2アンタゴニスト(Tranilast) を口蓋粘膜に投与した後, HHWT及びMHWTの変化を測定した。(日本大学動物実験委員会承認番号 AP18DEN017-2)
【結果と考察】
老齢マウスは,若齢マウスと比較して,有意な HHWTの上昇と,有意なMHWTの低下を認め,TRPV1陽性TGニューロンが有意に少なく,TRPV2陽性TGニューロンが有意に多く発現した。SB366791投与により,若齢マウスはHHWTの有意な上昇を認めたが,老齢マウスでは有意な変化を認めなかった。また,MHWTは,若齢及び老齢マウス共に有意な変化を認めなかった。Tranilast投与によるHHWT及びMHWTは,若齢マウスは有意な変化を認めなかったが,老齢マウスでは有意な上昇を認めた。以上より,加齢により口腔粘膜の熱および機械刺激に対する疼痛感受性は変化し,TGニューロンにおけるTRPV1およびTRPV2発現の加齢変化に依存していることが示唆された。(COI開示:なし)