The 33rd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター発表)

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ポスター発表8 症例・施設

[P8-11] 嚥下機能訓練に干渉波電気刺激療法を併用し、嚥下機能が回復した2症例

○井藤 克美1、佐々木 力丸2、金子 聖子3、三邉 民紗1、滑川 初枝2、山下 智嗣1 (1. アペックスメディカル・デンタルクリニック、2. 日本歯科大学附属病院、3. 東京医科歯科大学高齢者歯科)

【目的】
 高齢者にとって口から食べることは重要である。一方、嚥下機能の低下や誤嚥性肺炎の影響で、経口摂取が困難となる事は少なくない。嚥下障害を持つ在宅高齢者に対し訪問歯科診療において、干渉波電気刺激療法を含む嚥下機能訓練を行う事で嚥下機能が改善した症例を経験したので報告する。
【症例の概要と処置】
症例1 91歳、男性。主訴は、1か月前からの飲み込みの悪さであった。既往歴は脳梗塞であり、右側の不全麻痺を認めた。脳梗塞発症後、体重は11kg減少した。初診時の口腔機能評価として、舌の運動機能および筋力の低下を認めた。食事時の外部観察評価を行い、食形態や食環境の整備を行い、嚥下内視鏡検査(以下、VE)を施行し、 結果に基づき間接訓練などの嚥下機能訓練を開始した。訓練開始3か月より干渉波電気刺激療法としてジェントルスティム®(株式会社フードケア)を導入し訓練を継続した。
症例2 91歳、男性。主訴は、元の常食摂取に戻したいであった。入浴時に溺水し入院となり、入院中に誤嚥を繰り返し、退院時の食形態はムース食となった。既往歴は胃癌、心筋症、パーキンソン病である。初診時に口腔内評価を行い、食事時の外部観察評価、VEを施行し、結果に基づき、食形態、食環境の調整、ジェントルスティムを用いた機能訓練を行った。なお、2症例とも本報告について患者本人から文書による同意を得ている。
【結果と考察】
2症例とも継続的な嚥下機能訓練と干渉波電気刺激療法を用いた結果、嚥下機能が改善した。症例1では介入後5か月で一口大常食に食形態の変更が可能となり、介入後6か月で水分へのトロミの付与が不要となり、外食も可能となった。舌圧も18.2kPaから34.0kPaまで上昇し、発音も改善されたと家族より報告があった。症例2では食形態が3か月でムース食から常食一口大へ変更し、6か月で常食となった。初診時は入所施設で看護師や介護福祉士による生活面での管理が必要な状態であったが、現在は介助無しの生活を送れるようになった。両患者家族からも干渉波電気刺激療法の効果の実感があり、ジェントルスティムと機能訓練の併用で、嚥下反射遅延や舌骨の運動機能の改善、経口摂取食形態やQOLの向上、精神面の安定が得られた。干渉波電気刺激療法と機能訓練の併用は、嚥下障害患者機能改善の一助となる可能性が考えられた。(COI開示:なし)(倫理審査対象外)