The 33rd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター発表)

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ポスター発表8 症例・施設

[P8-18] 訪問歯科診療において口腔デジタルデータを利用し,多業種での情報共有が有効だった一症例

○坂口 豊1,2、鶴岡 秀一1、稲毛 恵1、吉野 華苗1、井上 博之1、小島 佑貴1 (1. 坂口歯科医院、2. 千葉市歯科医師会)

【目的】
 デジタルデータを利用し,口腔保健管理の多業種情報共有できた症例を経験したので報告する。
【症例の概要と処置】
 85歳男性,既往歴:脳出血、糖尿病、高血圧、脳血管性認知症、右側拇指腱鞘炎。診断名:咀嚼障害、摂食嚥下障害(経鼻経管栄養)主訴:在宅における口腔保健管理
 治療経過:脳出血から下肢麻痺にて訪問歯科診療で口腔保健管理を継続していた。家族への指導を行う際に日常的な口腔ケアについてよく見えないことからの恐怖心と困難さを訴えていたため、口腔環境の情報として、光学印象からデジタル3次元データを3次元的な動画で視覚的に提示、実際の歯ブラシの形態、運動を直接的な触覚に訴え、またそれを簡便に繰り返し視聴し、触れていただくことで口腔衛生指導が、効果的に行えるとともに繰り返し指導が容易であったことから、本人にも難聴で、意思の疎通が困難であるが、視覚的な効果で了解を得られやすくなった。家族にも口腔機能の状況、口腔環境の理解が深くなり、恐怖心の軽減、効率的な口腔のケアの手技の獲得に有効であった。またこのデータは簡便に参照でき、模型は複製が容易である。また在宅主治医、 訪問看護師、介護支援専門員などと簡便に情報共有できた。なお本報告の発表について患者本人、家族から文書による同意を得ている。
【結果と考察】
 在宅療養の患者には口腔保健管理の中、口腔衛生管理指導はその口腔機能の維持と口腔環境の改善、誤嚥性肺炎予防にとても重要である。だが、実際の要介護者の口腔衛生管理は、自己管理は難しく家族、介護職員、また医療従事者の深い理解、多大な協力がなくては維持できない。これまでも多くの家族、多業種に啓発、個別指導等行なっているが、対象にアプローチする手段は多く、それぞれにより効果的に選択していきたい。今回採取したデジタルデータ、模型は目新しさとともに視覚、触覚に口腔内の情報に厚みを持たせ、同じ繰り返しができる事で綿密な連携を取れるツールとなる事が示唆された。今回はデータを個別に扱っていたが、今後は、デジタルデータの個人情報の管理に注意をしながら、QRコードからの個別情報の参照やその指導内容の汎用データの作成など拡張活用を検討していきたいと思う。(C O I開示:なし 倫理審査対象外)