一般社団法人日本老年歯科医学会 第33回学術大会

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ポスター発表9 その他

[P9-01] 当院における摂食嚥下サポートサークルの取り組み

○坪井 千夏1、前川 賢治1,2、東 倫子1,3、内田 悠理香1,4、小林 直樹1 (1. 特定医療法人 万成病院 歯科、2. 岡山大学学術研究院医歯薬学域 インプラント再生補綴学分野、3. 岡山大学病院 スペシャルニーズ歯科センター、4. 岡山大学病院 医療支援歯科治療部)

【目的】
精神科病院に入院中の患者の多くは,向精神薬の服用や認知症による食行動異常などにより,摂食嚥下機能に何らかの問題を有していることが多い。当院では,2021年4月に,入院患者の食の安全と口から食べることの楽しみを考え,質の高い医療サービスの提供を目的とした「摂食嚥下サポートサークル(SSC)」を立ち上げた。本発表では,我々が展開しているSSCでの取り組みを報告する。
【方法】
SSCは,院内組織各部署の多職種にメンバーを募り,12職種18名のメンバーで構成されている。まず,2021年11月,12月に職員を対象として参加を募ったうえで摂食嚥下研修会を開催した。第1回の研修会では, とろみ調整食品に関する講義と演習を, 第2回は看護補助者を対象とした摂食嚥下機能に関する基礎的知識と技術について, 講演とレポート提出を課した研修を実施した。終了後に,出席者に対して研修会の内容についての興味や必要性・有用性など,7つの質問からなるアンケートへの回答を求めた。
【結果と考察】
第1回の摂食嚥下研修会には28名が,第2回には72名が参加した。研修会後のアンケートの結果,受講者が内容に関して大変興味がある,興味があると回答したものは第1回では93%,第2回は71%であり,有用性に関しても, 大変役立つ,まあまあ役立つ,役立つと回答したものを合わせると,100%(第1回),97%(第2回)と非常に高かった。新型コロナウイルス感染防止対策のため,立ち上げ当初は十分な打ち合わせ時間の確保が困難であったが,院内職員に対する知識,技術の提供を効率よく実施する企画の提案と実施を継続している。今後は, 対応困難事例やその他についての相談等をサークル内で情報共有して,摂食嚥下に障害をもつ患者の早期発見・ 早期介入の実現を目指すシステムを確立することで,患者の食の安全と楽しみを支えていける組織として展開していきたい。また,今後,SSCの介入前後に患者にどのような変化などがあるかも調査を続けていきたい。
(COI開示:なし, 万成病院倫理委員会承認番号2021-12)