[課題1-3] 無歯科医地区における在住高齢者の歯科受診に関する実態調査
【目的】
本邦では、少子高齢化に伴う人口減少、歯科医療機関の都市部集中により、特に地方において、歯科医院の大幅な減少、歯科受診が困難となる者の増加が予想される。また、ADLの低下した者に対しては、訪問診療の必要性が想定されるが、充足しているとは言えない。本調査では、無歯科医地区在住高齢者の歯科受診頻度や口腔の困り事についてアンケートを実施し、地域歯科医療の実態を把握することとした。
【方法】
歯科医療機関が無く、かつ容易に歯科医療機関を利用できない某県内の無歯科医地区(総人口684人、高齢化率45.3%)に在住の65歳以上の高齢者274名(男性123名、女性151名 平均77.2±8.1歳)全員に対して行政職員の訪問による対面聞き取り調査を行った。調査内容は、半年以内の歯科通院歴の有無、定期的な歯科受診の有無、歯科受診時の付き添い者、口腔内に関する自覚症状の有無、身体状況等を調査項目とした。本研究は日本歯科大学倫理審査委員会の承認を得て行われた。(NDU-T2021-47)
【結果と考察】
半年以内に歯科受通院歴があった者、定期的な歯科受診を行っている者、歯科受診時の付き添いが不要な者、 口腔内に関して自覚症状の無い者、自立者はそれぞれ76名(27.7%)、67名(24.5%)、167名(60.9%)、 225名(82.1%)、204名(74.5%)であった。
半年以内に通院歴があった者および定期受診している者は、自立者が有意に多く(p=0.001、p<0.001)、子や孫の付き添いを要する者はこれが有意に低かった。(p=0.004、p=0.010) また、口腔内自覚症状の有無と歯科通院歴に有意な関連は認められなかった。(p=1.000)
本研究の結果より、歯科受診行動は口腔内の自覚症状の有無とは関連を示さず、ADLが関連していることが明らかになった。また、口腔内に自覚症状を有していても身体の自立度が低いこと、または受診時の付き添いを配偶者以外に依頼することへの心理的な抵抗感が、必要な歯科受診を妨げている可能性があることが考えられた。 歯科受診が容易に行えない地区において、切れ目ない口腔健康管理を実現するためには、ADLの低下した者や通院介助が近親者より得られない者に対する通院介助のシステムの構築が急がれる。(COI開示:なし)
本邦では、少子高齢化に伴う人口減少、歯科医療機関の都市部集中により、特に地方において、歯科医院の大幅な減少、歯科受診が困難となる者の増加が予想される。また、ADLの低下した者に対しては、訪問診療の必要性が想定されるが、充足しているとは言えない。本調査では、無歯科医地区在住高齢者の歯科受診頻度や口腔の困り事についてアンケートを実施し、地域歯科医療の実態を把握することとした。
【方法】
歯科医療機関が無く、かつ容易に歯科医療機関を利用できない某県内の無歯科医地区(総人口684人、高齢化率45.3%)に在住の65歳以上の高齢者274名(男性123名、女性151名 平均77.2±8.1歳)全員に対して行政職員の訪問による対面聞き取り調査を行った。調査内容は、半年以内の歯科通院歴の有無、定期的な歯科受診の有無、歯科受診時の付き添い者、口腔内に関する自覚症状の有無、身体状況等を調査項目とした。本研究は日本歯科大学倫理審査委員会の承認を得て行われた。(NDU-T2021-47)
【結果と考察】
半年以内に歯科受通院歴があった者、定期的な歯科受診を行っている者、歯科受診時の付き添いが不要な者、 口腔内に関して自覚症状の無い者、自立者はそれぞれ76名(27.7%)、67名(24.5%)、167名(60.9%)、 225名(82.1%)、204名(74.5%)であった。
半年以内に通院歴があった者および定期受診している者は、自立者が有意に多く(p=0.001、p<0.001)、子や孫の付き添いを要する者はこれが有意に低かった。(p=0.004、p=0.010) また、口腔内自覚症状の有無と歯科通院歴に有意な関連は認められなかった。(p=1.000)
本研究の結果より、歯科受診行動は口腔内の自覚症状の有無とは関連を示さず、ADLが関連していることが明らかになった。また、口腔内に自覚症状を有していても身体の自立度が低いこと、または受診時の付き添いを配偶者以外に依頼することへの心理的な抵抗感が、必要な歯科受診を妨げている可能性があることが考えられた。 歯科受診が容易に行えない地区において、切れ目ない口腔健康管理を実現するためには、ADLの低下した者や通院介助が近親者より得られない者に対する通院介助のシステムの構築が急がれる。(COI開示:なし)