一般社団法人日本老年歯科医学会 第33回学術大会

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義歯安定剤の選択方法と患者さんへの説明の仕方のポイント

2022年6月11日(土) 14:50 〜 15:50 第4会場 (新潟県民会館 2F 小ホール)

座長:櫻井 薫(こばやし歯科クリニック 顧問)

共催:グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン株式会社

[SWS] 義歯安定剤の選択方法と患者さんへの説明の仕方のポイント

○上田 貴之 (東京歯科大学 老年歯科補綴学講座)

【略歴】
1999年 東京歯科大学卒業
2003年 東京歯科大学大学院歯学研究科修了
2003年 東京歯科大学・助手
2007年 東京歯科大学・講師
2007年 長期海外出張(スイス連邦・ベルン大学歯学部補綴科客員教授)
2009年 東京歯科大学復職
2010年 東京歯科大学・准教授
2016年 東京歯科大学教務副部長
2016年 文部科学省高等教育局医学教育課技術参与(2018年まで)
2019年 東京歯科大学教授・学生部副部長

【主な活動】
一般社団法人日本老年歯科医学会 常任理事(総務担当)・専門医・指導医・学術委員会委員
公益社団法人日本補綴歯科学会 理事・専門医・指導医・広報委員長
【抄録】
 義歯安定剤は、超高齢社会における義歯治療において、欠かすことのできないオプションの1つです。私は、口腔機能管理の一環として位置づけて、日常臨床において活用しています。しかし、義歯安定剤の選択や使用方法を患者自身で適切に行うことは困難です。歯科医師、歯科衛生士は、プロフェッショナルとして義歯安定剤の選択と使用方法を説明できなければなりません。一般に義歯安定剤は、クッションタイプ(ホームリライナー)と粘着剤に分けられます。粘着剤は、その形状により、クリームタイプ、パウダータイプ、テープタイプ(シートタイプ)があります。これらをどのように選択すればよいでしょうか。適切な選択のためには、まずは患者の口腔機能や義歯の状態を把握する必要があるのは言うまでもありません。それに加えて、患者の生活スタイルや希望を把握することで、患者のニーズにこたえることが出来るでしょう。使用後の義歯と口腔内の衛生管理の指導も忘れてはいけません。義歯安定剤の除去にもコツがありますので、清掃方法についても具体的に指導することが望まれます。
 一方で、義歯安定剤は、患者の満足度を高めるツールの1つでもあります。義歯安定剤には、やむを得ず使用するといった「逃げ」の利用方法のイメージがあると思います。しかし、患者中心の医療を考える時、義歯安定剤を積極的に利用することで、患者の満足度を高めることができます。いわば、「攻め」の利用方法ともいえます。これからのアクティブ・シニア層のニーズに応えるためには、義歯安定剤の選択肢を積極的に提示する姿勢も求められています。義歯安定剤は、総義歯だけでなく、パーシャルデンチャーにも応用できます。義歯を外れなくすることだけが義歯安定剤の役割ではありません。パーシャルデンチャーに義歯安定剤を使用することで、患者の満足度が高まる場合もあります。本セミナーを通じて、義歯安定剤の活用法と指導方法について学んで頂きたいと思います。