[SY5-1] 2040年問題に向けた摂食嚥下センターの立ち位置と歯科医師の役割
【略歴】
2002年3月 東京歯科大学卒業
2012年3月 藤田医科大学医学部卒業
2012年4月 湘南藤沢徳洲会病院 研修医
2014年4月 千葉徳洲会病院 外科医師
2018年3月 筑波大学大学院 人間総合科学研究科修了
2019年4月 聖隷佐倉市民病院 耳鼻咽喉科医長 摂食嚥下センター
2022年4月 医療法人社団 徳風会 高根病院
外科部長 誤嚥性肺炎・摂食嚥下センター長
2002年3月 東京歯科大学卒業
2012年3月 藤田医科大学医学部卒業
2012年4月 湘南藤沢徳洲会病院 研修医
2014年4月 千葉徳洲会病院 外科医師
2018年3月 筑波大学大学院 人間総合科学研究科修了
2019年4月 聖隷佐倉市民病院 耳鼻咽喉科医長 摂食嚥下センター
2022年4月 医療法人社団 徳風会 高根病院
外科部長 誤嚥性肺炎・摂食嚥下センター長
【抄録】
今後の日本において2040年問題が提起されている。65歳以上の高齢者割合が36%と増加し、それを支える生産年齢人口が急激に減少することで、社会人口比率が不均衡となり、現行の社会保障制度が立ち行かない状況になると予想されている。国の対策として医療従事者に求めるものは健康寿命の延長と、医療や介護のサービスの生産性向上が挙げられている。健康寿命の延長においては平成元年から始まった8020運動や、オーラルフレイルに代表される早期発見・早期介入をする予防的医療の実践が浸透してきている。そしてもう一つの医療や介護サービスの生産性向上の対策には、医療と介護の両現場で問題となる“食べること”を専門的に評価し介入できる摂食嚥下センターの役割は大きいと考える。その理由として人生のフェーズは食べられるか、食べられないかによって大きく分かれてくるため、この大きな分岐点を的確に判断し、適した医療環境へスムーズに振り分けをすることができる専門的セクションが必要となるからだ。食べられない人を食べられるようにすることも摂食嚥下センターの役割だが、すべての栄養需要を口から食べられない人に無理をさせないようにすることも重要な役割となる。これは食べられないと判断されても食べる楽しみを全て奪ってしまうわけではなく、専門家が付き添いのもと経口摂取をお楽しみ程度で提案することや、これまでのキュアの観点よりケアの観点を重視して、EBM(Evidenced Based Medicine)の論拠に基づいた医療からNBM(Narrative based Medicine)の人生の物語を重視した医療にシフトし提供していくことも役割となる。患者の希望を最大限尊重し、補助栄養が必要な方には、適応やその方法も含め、人生の過ごし方を個別的かつ包括的に提案していくことも摂食嚥下センターの立ち位置と考える。
歯科医師の関わりとして、咀嚼能力の調整は言うまでもないが、今後、嚥下障害となる高齢者が急増する社会背景を考えると、一次予防の観点から可能な範囲での栄養指導や、二次予防的なリハビリテーションの指導も求められるのではないかと考える。医科にできること、出来ないこと、歯科にできること、出来ないことを医科と歯科の両方を経験してきたなかで感じたことをお伝えしたい。
今後の日本において2040年問題が提起されている。65歳以上の高齢者割合が36%と増加し、それを支える生産年齢人口が急激に減少することで、社会人口比率が不均衡となり、現行の社会保障制度が立ち行かない状況になると予想されている。国の対策として医療従事者に求めるものは健康寿命の延長と、医療や介護のサービスの生産性向上が挙げられている。健康寿命の延長においては平成元年から始まった8020運動や、オーラルフレイルに代表される早期発見・早期介入をする予防的医療の実践が浸透してきている。そしてもう一つの医療や介護サービスの生産性向上の対策には、医療と介護の両現場で問題となる“食べること”を専門的に評価し介入できる摂食嚥下センターの役割は大きいと考える。その理由として人生のフェーズは食べられるか、食べられないかによって大きく分かれてくるため、この大きな分岐点を的確に判断し、適した医療環境へスムーズに振り分けをすることができる専門的セクションが必要となるからだ。食べられない人を食べられるようにすることも摂食嚥下センターの役割だが、すべての栄養需要を口から食べられない人に無理をさせないようにすることも重要な役割となる。これは食べられないと判断されても食べる楽しみを全て奪ってしまうわけではなく、専門家が付き添いのもと経口摂取をお楽しみ程度で提案することや、これまでのキュアの観点よりケアの観点を重視して、EBM(Evidenced Based Medicine)の論拠に基づいた医療からNBM(Narrative based Medicine)の人生の物語を重視した医療にシフトし提供していくことも役割となる。患者の希望を最大限尊重し、補助栄養が必要な方には、適応やその方法も含め、人生の過ごし方を個別的かつ包括的に提案していくことも摂食嚥下センターの立ち位置と考える。
歯科医師の関わりとして、咀嚼能力の調整は言うまでもないが、今後、嚥下障害となる高齢者が急増する社会背景を考えると、一次予防の観点から可能な範囲での栄養指導や、二次予防的なリハビリテーションの指導も求められるのではないかと考える。医科にできること、出来ないこと、歯科にできること、出来ないことを医科と歯科の両方を経験してきたなかで感じたことをお伝えしたい。