[SY13-1] エビデンスを活用する側から創出・発信する立場へ―歯科衛生士が研究に取り組むために―
【略歴】
1998年 東京医科歯科大学歯学部附属歯科衛生士学校卒業
1998~2009年 開業歯科医院勤務
2008年 東京医科歯科大学歯学部口腔保健学科卒業(3年次編入)
2009年 東京医科歯科大学歯学部口腔保健学科 特任助教
2010年 首都大学東京人間健康科学研究科修了・修士(健康科学)
2012年 東京医科歯科大学歯学部口腔保健学科 非常勤講師
同年 文京湯島高齢者在宅サービスセンター
2014年 東京医科歯科大学大学院修了・博士(歯学)
同年 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 口腔健康教育学分野 講師
2019年 東京都健康長寿医療センター研究所 自立促進と精神保健研究チーム(口腔保健と栄養) 専門副部長
1998年 東京医科歯科大学歯学部附属歯科衛生士学校卒業
1998~2009年 開業歯科医院勤務
2008年 東京医科歯科大学歯学部口腔保健学科卒業(3年次編入)
2009年 東京医科歯科大学歯学部口腔保健学科 特任助教
2010年 首都大学東京人間健康科学研究科修了・修士(健康科学)
2012年 東京医科歯科大学歯学部口腔保健学科 非常勤講師
同年 文京湯島高齢者在宅サービスセンター
2014年 東京医科歯科大学大学院修了・博士(歯学)
同年 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 口腔健康教育学分野 講師
2019年 東京都健康長寿医療センター研究所 自立促進と精神保健研究チーム(口腔保健と栄養) 専門副部長
【抄録】
私たち歯科衛生士は、臨床の場で常に多くの判断をしています。その判断のよりどころは、成功体験も失敗体験も含めたこれまでの臨床経験が多くを占めますが、常に経験則に基づいて、的確に迷いなく判断ができるとは限りません。歯科衛生士としての臨床は、常に疑問の連続であり、その疑問の根底には、「患者さんに最善の医療を提供したい」、「口腔の健康を支えたい」という思いが流れているはずです。臨床での課題を見つけ、「疑問」を持つことが、歯科衛生士としてのケアの質を高める第一歩となります。
また、専門職として歯科衛生士が行う口腔健康管理の効果を最大限にするためには、科学的な知識の裏付けが必要となります。一人一人の臨床上の経験は、何物にも代えがたい貴重な資源であるものの、単なる経験に裏付けられた勘やセンスだけでは、均質な医療を提供することにはつながりません。生じた「疑問」に対して確かな情報を調べ吟味し、臨床に応用していくことになります。もし、既知の事実からでは解決できない疑問に直面した場合には、エビデンスを活用する立場から、研究のプロセスを通して新しい事実を自ら発見し、その成果を情報発信することが求められます。
つまり、臨床に関わる歯科衛生士にこそ、日々の患者さんとのかかわりの中で生まれた疑問を解決する視点「リサーチマインド」が不可欠です。毎日の臨床の中で疑問を持ち、想像力を働かせ、分析し系統的に問題を解決する力は、最終的に歯科衛生士としての臨床スキルを高め、患者さんのQOL向上に寄与することになります。ひとつひとつの研究報告が、知見となって蓄積され、多くの人の、そして未来に向けての健康づくりに貢献できるとしたら、それも歯科衛生士としての大きなやりがいになるのではないでしょうか。
研究とは、「物事について深く考えたり調べたりして真理を明らかにすること」であるとされています。さらに真理とは、誰も否定することのできない、普遍的で妥当性のある法則や事実を意味しています(三省堂 大辞林)。一見、堅苦しく、ハードルが高そうに思える「研究」は、私たち歯科衛生士が自信をもって口腔健康管理に関わり、専門性を高めていく上では不可欠な存在です。
そこで、本シンポジウムを通して、歯科衛生士が研究を行う意義と必要性、実際に研究を行う上で知っておくべき基礎知識についてお伝えするとともに、これからの歯科衛生士に求められるリサーチマインドについて皆さんとディスカッションを深めたいと考えています。
私たち歯科衛生士は、臨床の場で常に多くの判断をしています。その判断のよりどころは、成功体験も失敗体験も含めたこれまでの臨床経験が多くを占めますが、常に経験則に基づいて、的確に迷いなく判断ができるとは限りません。歯科衛生士としての臨床は、常に疑問の連続であり、その疑問の根底には、「患者さんに最善の医療を提供したい」、「口腔の健康を支えたい」という思いが流れているはずです。臨床での課題を見つけ、「疑問」を持つことが、歯科衛生士としてのケアの質を高める第一歩となります。
また、専門職として歯科衛生士が行う口腔健康管理の効果を最大限にするためには、科学的な知識の裏付けが必要となります。一人一人の臨床上の経験は、何物にも代えがたい貴重な資源であるものの、単なる経験に裏付けられた勘やセンスだけでは、均質な医療を提供することにはつながりません。生じた「疑問」に対して確かな情報を調べ吟味し、臨床に応用していくことになります。もし、既知の事実からでは解決できない疑問に直面した場合には、エビデンスを活用する立場から、研究のプロセスを通して新しい事実を自ら発見し、その成果を情報発信することが求められます。
つまり、臨床に関わる歯科衛生士にこそ、日々の患者さんとのかかわりの中で生まれた疑問を解決する視点「リサーチマインド」が不可欠です。毎日の臨床の中で疑問を持ち、想像力を働かせ、分析し系統的に問題を解決する力は、最終的に歯科衛生士としての臨床スキルを高め、患者さんのQOL向上に寄与することになります。ひとつひとつの研究報告が、知見となって蓄積され、多くの人の、そして未来に向けての健康づくりに貢献できるとしたら、それも歯科衛生士としての大きなやりがいになるのではないでしょうか。
研究とは、「物事について深く考えたり調べたりして真理を明らかにすること」であるとされています。さらに真理とは、誰も否定することのできない、普遍的で妥当性のある法則や事実を意味しています(三省堂 大辞林)。一見、堅苦しく、ハードルが高そうに思える「研究」は、私たち歯科衛生士が自信をもって口腔健康管理に関わり、専門性を高めていく上では不可欠な存在です。
そこで、本シンポジウムを通して、歯科衛生士が研究を行う意義と必要性、実際に研究を行う上で知っておくべき基礎知識についてお伝えするとともに、これからの歯科衛生士に求められるリサーチマインドについて皆さんとディスカッションを深めたいと考えています。