[SY13-2] リサーチマインドを持つ歯科衛生士を目指して
【略歴】
2005年 北海道ハイテクノロジー専門学校 歯科衛生士学科 卒業
2005年 北海道北広島市 なかじま歯科診療室 勤務
2011年 社団法人北海道歯科衛生士会 勤務(北海道委託事業担当)
2012年 北海道医療大学病院 勤務(歯科訪問診療担当)
2019年 北海道医療大学病院および北海道医療大学在宅歯科診療所 兼務
2021年 北海道医療大学大学院歯学研究科 歯学専攻博士課程 修了
2011年 社団法人北海道歯科衛生士会 理事
2017年 一般社団法人北海道歯科衛生士会 副会長
2005年 北海道ハイテクノロジー専門学校 歯科衛生士学科 卒業
2005年 北海道北広島市 なかじま歯科診療室 勤務
2011年 社団法人北海道歯科衛生士会 勤務(北海道委託事業担当)
2012年 北海道医療大学病院 勤務(歯科訪問診療担当)
2019年 北海道医療大学病院および北海道医療大学在宅歯科診療所 兼務
2021年 北海道医療大学大学院歯学研究科 歯学専攻博士課程 修了
2011年 社団法人北海道歯科衛生士会 理事
2017年 一般社団法人北海道歯科衛生士会 副会長
【抄録】
「リサーチマインド」と聞いて、皆さんはどんな印象を持ちますか。
皆さんは歯科衛生士として目の前の患者さんの口腔の健康管理を通じて全身の健康維持を目指し、日々様々な環境で奮闘していることと思います。我々の活躍の場は近年、歯科診療所や病院の中にとどまらず、介護施設や在宅などの介護や生活の場へと広がっています。そのような臨床の現場では「疑問」を抱くこともあり、より患者さんのためにできることがないものか、と日頃感じてきました。
しかし、それらの解決に向けて実際取り組み始めたのは、歯科衛生士として経験を積んでからでした。養成校の卒後1年目は、「患者さんに信頼される歯科衛生士になりたい。」と歯周病専門医の歯科医院で外来患者さんと関わることに充実感を抱いていました。ところが次第に、通院できない患者さんの存在を意識するようになり、「通院が難しくなっても患者さんに寄り添い続けられる歯科衛生士になりたい。」との想いから、縁あって現在、本学の訪問診療の専任歯科衛生士とし勤務し11年目を迎えています。訪問診療では、生活や介護に関わる職種との関わりが多く、認知症の方との接し方や多職種との連携の意義などについて多くの学びを得てきた一方で、新たな「疑問」も生じました。「なぜ、在宅から施設、施設から病院など生活の場の変化とともに歯科の情報が抜け落ちてしまうのか。」、「ケアマネジャー(CM)との連携で、歯科衛生士には何が求められているのか。」と考えたのです。CMへアンケート調査を実施すると、CMの扱う項目に歯科に関する情報がそもそも十分ではない可能性が明らかになりました。さらにその調査結果を本学術大会等で報告し、全国の会員の方と情報交換することが疑問解決のヒントとなりました。「リサーチマインド」を持って業務を行う面白さを実感した瞬間です。疑問を見過ごすことなく、エビデンスを確立する臨床研究に取り組むことは、口腔健康管理を根拠に基づいて実践する拠り所となり、専門職としての責務であるとも感じました。このような体験を契機に社会人大学院を経て、認知機能が低下した方の口腔機能の評価方法や機能低下の予測因子の探索にテーマを定め、臨床研究に取り組み続けています。
研究をしよう!と思うと、何か壮大なテーマを持って挑まなくてはならない敷居高いもののようにも感じますが、研究のスタートは、日常的な臨床現場から得られる小さな「気づき」です。おそらく皆さんも持っていることと思います。今回は、現場での気づきから抱いた「疑問」をどのように研究構想へと繋げてきたのか、私がこれまで行ってきた臨床研究を通して皆さんにお伝えしたいと考えています。
「リサーチマインド」と聞いて、皆さんはどんな印象を持ちますか。
皆さんは歯科衛生士として目の前の患者さんの口腔の健康管理を通じて全身の健康維持を目指し、日々様々な環境で奮闘していることと思います。我々の活躍の場は近年、歯科診療所や病院の中にとどまらず、介護施設や在宅などの介護や生活の場へと広がっています。そのような臨床の現場では「疑問」を抱くこともあり、より患者さんのためにできることがないものか、と日頃感じてきました。
しかし、それらの解決に向けて実際取り組み始めたのは、歯科衛生士として経験を積んでからでした。養成校の卒後1年目は、「患者さんに信頼される歯科衛生士になりたい。」と歯周病専門医の歯科医院で外来患者さんと関わることに充実感を抱いていました。ところが次第に、通院できない患者さんの存在を意識するようになり、「通院が難しくなっても患者さんに寄り添い続けられる歯科衛生士になりたい。」との想いから、縁あって現在、本学の訪問診療の専任歯科衛生士とし勤務し11年目を迎えています。訪問診療では、生活や介護に関わる職種との関わりが多く、認知症の方との接し方や多職種との連携の意義などについて多くの学びを得てきた一方で、新たな「疑問」も生じました。「なぜ、在宅から施設、施設から病院など生活の場の変化とともに歯科の情報が抜け落ちてしまうのか。」、「ケアマネジャー(CM)との連携で、歯科衛生士には何が求められているのか。」と考えたのです。CMへアンケート調査を実施すると、CMの扱う項目に歯科に関する情報がそもそも十分ではない可能性が明らかになりました。さらにその調査結果を本学術大会等で報告し、全国の会員の方と情報交換することが疑問解決のヒントとなりました。「リサーチマインド」を持って業務を行う面白さを実感した瞬間です。疑問を見過ごすことなく、エビデンスを確立する臨床研究に取り組むことは、口腔健康管理を根拠に基づいて実践する拠り所となり、専門職としての責務であるとも感じました。このような体験を契機に社会人大学院を経て、認知機能が低下した方の口腔機能の評価方法や機能低下の予測因子の探索にテーマを定め、臨床研究に取り組み続けています。
研究をしよう!と思うと、何か壮大なテーマを持って挑まなくてはならない敷居高いもののようにも感じますが、研究のスタートは、日常的な臨床現場から得られる小さな「気づき」です。おそらく皆さんも持っていることと思います。今回は、現場での気づきから抱いた「疑問」をどのように研究構想へと繋げてきたのか、私がこれまで行ってきた臨床研究を通して皆さんにお伝えしたいと考えています。