[SY13-4] 私が目指す研究との向き合い方―気づき、学び、そしてつながり―
【略歴】
2003年 ベル歯科衛生専門学校(現、朝日医療大学校歯科衛生学科)
2003年 医療法人津高台グリーン歯科
2006年 特定医療法人万成病院歯科
2007年 医療法人青木内科小児科医院あいの里クリニック・歯科
2011年 鳥取市立病院
2018年 岡山市立市民病院
2003年 ベル歯科衛生専門学校(現、朝日医療大学校歯科衛生学科)
2003年 医療法人津高台グリーン歯科
2006年 特定医療法人万成病院歯科
2007年 医療法人青木内科小児科医院あいの里クリニック・歯科
2011年 鳥取市立病院
2018年 岡山市立市民病院
【抄録】
歯科保健医療の社会的ニーズが多様化し拡大する中で、歯科衛生士は歯科診療所のみならず、在宅、介護保険施設、病院等の様々な場所で従事している。広い視野を持ち、患者の生涯を見据えた口腔健康管理を支援し続けるため、質の高い人材育成を目指した生涯研修の推進が求められ、歯科衛生士教育は変革の時を迎えている。
卒業前の教育は、2018年に改定された「歯科衛生学教育コア・カリキュラムー教育内容ガイドラインー」では、知識注入型の教育方法から、生涯にわたり自ら課題を探求し、問題を解決していく能力を身に付けられるよう、学生主体の学習方法に積極的に転換することが必要とされている。しかし研究に関しては、コア・カリキュラムにはなく、学生時代に研究に触れることができるかは、独自科目として養成校に委ねられている。
卒業後の学習に関しては、日本歯科衛生士会の生涯学習事業が企画・運営・促進され、特定の専門分野において認定制度も設けているが、会員数は就業歯科衛生士全体の約15%に留まっている。そのため、入職先の教育体制に依存する場合が多く、歯科診療所で勤務する場合は歯科医師の専門分野や患者の年齢層など、個人の経験に偏りが生じている可能性がある。また一般の臨床現場においては診療業務重視の傾向にあり、必ずしも研究に恵まれた環境とはいえないのではないだろうか。
市中病院で働く私にとっても、日々の臨床のなかで研究や発表のために費やすことができる時間には限りがあり、研究と向き合うことは容易ではない。だが、臨床の中で生まれた「なぜ?」に出会えたことで、与えられる情報だけでは解決せず、自ら学び続けなければならないことの大切さを知ることができた。そして今は、研究は特別なことではなく、研究と臨床は表裏一体のものと考えられるようになっている。それは、臨床での「気づき」と「学び」の経験を繰り返すことで、研究への興味や必要性を認識することにつながり、私自身のキャリアデザインを描くきっかけとなったからである。研究の過程で学んだことや結果もさることながら、指導していただいた方々とのつながりは、私自身の財産でもある。職場の環境、同僚や多職種との関わり、成長を支援してくださる指導者とのめぐり合わせなど、人と人との「つながり」こそがリサーチマインドを養い、キャリアデザインを設計する要となると考えている。
令和3年度以降、基礎教育における臨床現場での、実習経験が極めて少ない歯科衛生士が入職する未曽有の事態となっており、今後リサーチマインドを育む教育環境確保とキャリア開発支援が重要である。今回のシンポジウムでは、我々歯科衛生士が研究を身近に感じ実践できるよう、教育機関、歯科医療機関、学会との連携に基づく教育体制についても皆様とディスカッションしたい。
歯科保健医療の社会的ニーズが多様化し拡大する中で、歯科衛生士は歯科診療所のみならず、在宅、介護保険施設、病院等の様々な場所で従事している。広い視野を持ち、患者の生涯を見据えた口腔健康管理を支援し続けるため、質の高い人材育成を目指した生涯研修の推進が求められ、歯科衛生士教育は変革の時を迎えている。
卒業前の教育は、2018年に改定された「歯科衛生学教育コア・カリキュラムー教育内容ガイドラインー」では、知識注入型の教育方法から、生涯にわたり自ら課題を探求し、問題を解決していく能力を身に付けられるよう、学生主体の学習方法に積極的に転換することが必要とされている。しかし研究に関しては、コア・カリキュラムにはなく、学生時代に研究に触れることができるかは、独自科目として養成校に委ねられている。
卒業後の学習に関しては、日本歯科衛生士会の生涯学習事業が企画・運営・促進され、特定の専門分野において認定制度も設けているが、会員数は就業歯科衛生士全体の約15%に留まっている。そのため、入職先の教育体制に依存する場合が多く、歯科診療所で勤務する場合は歯科医師の専門分野や患者の年齢層など、個人の経験に偏りが生じている可能性がある。また一般の臨床現場においては診療業務重視の傾向にあり、必ずしも研究に恵まれた環境とはいえないのではないだろうか。
市中病院で働く私にとっても、日々の臨床のなかで研究や発表のために費やすことができる時間には限りがあり、研究と向き合うことは容易ではない。だが、臨床の中で生まれた「なぜ?」に出会えたことで、与えられる情報だけでは解決せず、自ら学び続けなければならないことの大切さを知ることができた。そして今は、研究は特別なことではなく、研究と臨床は表裏一体のものと考えられるようになっている。それは、臨床での「気づき」と「学び」の経験を繰り返すことで、研究への興味や必要性を認識することにつながり、私自身のキャリアデザインを描くきっかけとなったからである。研究の過程で学んだことや結果もさることながら、指導していただいた方々とのつながりは、私自身の財産でもある。職場の環境、同僚や多職種との関わり、成長を支援してくださる指導者とのめぐり合わせなど、人と人との「つながり」こそがリサーチマインドを養い、キャリアデザインを設計する要となると考えている。
令和3年度以降、基礎教育における臨床現場での、実習経験が極めて少ない歯科衛生士が入職する未曽有の事態となっており、今後リサーチマインドを育む教育環境確保とキャリア開発支援が重要である。今回のシンポジウムでは、我々歯科衛生士が研究を身近に感じ実践できるよう、教育機関、歯科医療機関、学会との連携に基づく教育体制についても皆様とディスカッションしたい。