The 34th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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摂食機能療法専門歯科医師審査/更新ポスター

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摂食機能療法専門歯科医師審査ポスター

Fri. Jun 16, 2023 2:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (1階 G3)

[摂食審査P-2] 認知症高齢者が入院により経管栄養管理となったが退院後3食経口摂取可能となり栄養状態を回復した症例

○並木 千鶴1 (1. 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 摂食嚥下リハビリテーション学分野)

【緒言・目的】 認知症高齢者の経口摂取維持には, 認知機能以外に嚥下機能や低栄養が障壁となるが, 入院自体が支障となることがある。本症例は入院中の食思不振から中心静脈栄養管理(以下TPN)となったが, 3食経口摂取可能となり栄養状態を回復したので報告する。 【症例および経過】 91 歳, 女性, 既往はアルツハイマー型認知症(以下AD), 食道癌(鏡視下手術のみ)。2020年 8月に大腿骨骨折により入院。入院中に食思低下, ADの進行から経口摂取困難となりTPNとなった。回復期転院後も改善なくTPNのみで自宅退院した。家族より経口摂取希望の依頼があり, 2021年1月に在宅訪問診療を開始した。初診時は入院前より10kgの体重減少を認めた(BMI14.7kg/m2)。認知機能は, 理解力低下は認められるも食事に対する拒否なく自己摂取可能であった(日常生活自立度Ⅲ, 欠損歯1歯)。中等度とろみ水等を用いた嚥下内視鏡検査による評価では, 嚥下反射惹起遅延, 咽頭収縮の減弱が観察されたが誤嚥や喉頭侵入は認められなかった。嚥下重症度分類(DSS)3。入院中も肺炎の兆候がないことから嚥下障害の原因は, 入院によるリロケーションダメージと長期間の絶食から, 廃用が考えられた。目標は, 短期的には3食経口摂取の移行とTPNの抜去とし, 最終目標は栄養改善および食形態の回復とした。ADは咽頭期障害や誤嚥が少ないため, まずはとろみ水等を用いた直接訓練を開始した。退院後間もないため環境に慣れる期間も考慮し, 毎月看護師立会いのもと訪問し経口摂取量を増やした。初診から4か月後にペースト食を3食経口摂取可能となりTPNを抜去し, 7か月後には体重および食形態が入院前と同等に改善した(BMI19.3 kg/m2)。本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。 【考察】 本症例は環境変化が食思不振を招き廃用, 低栄養を来したと考えられ, 退院後早期に評価, 介入できたことが改善に繋がったと考察された。認知症高齢者の環境変化は, 予想外の支障を招くことがあり今後も入院を避けるよう, 家族や介護, 医療関係者と協力し生活の場を意識したケアを行うことが大切である。やむを得ない入院の際は安心した入院生活を送れるよう, リロケーションダメージの対処が重要である。 (COI開示:なし)(倫理審査対象外)