[摂食更新P-10] 摂食機能療法専門歯科医師としての活動ー多職種連携で一つの目標達成をー
【緒言】
幌西歯科(以下当院)は,患者の「食べること」に重点を置いた歯科医院として2019年10月に開業した。以来,現在まで在宅医療機関や地域の中核病院と連携し,外来診療だけでなく在宅への歯科訪問診療を行い,歯科的な問題や食事の問題の解決に取り組んでいる。その現状を症例の供覧とともに今後にむけた課題について報告する。
【症例1】
65歳女性。20XX年脳梗塞を発症,経口摂取不可となり胃瘻造設し自宅へ退院となった。退院後,全く経口摂取をしていなかったが,20XX+5年に患者の強い希望から嚥下機能評価の依頼が訪問看護師から当院にあり訪問した。スクリーニング検査を行い,改訂水飲みテスト4点でとろみなしの水分を嚥下可能であったため,大学病院にて嚥下造影検査を実施(発表者自ら検査実施)した。結果,全粥程度の食形態であれば誤嚥なく嚥下可能であったため,在宅専門医療機関の主治医に連絡し経口摂取が再開となった。また,訪問看護・デイサービス利用時には継続して食事観察や嚥下訓練を実施,当院訪問時には加えて歯科治療も行った。20XX+6年まで全身状態の安定が確認されたため主治医が胃瘻抜去し20XX+7年現在まで良好に経過している。
【症例2】
82歳女性。衰弱に伴う嚥下機能低下で誤嚥のリスクが高いため入院中に胃瘻造設となり,いわゆる看取りで自宅へ退院となった。退院後,食べる意欲が回復してきたため,在宅専門医療機関の主治医から嚥下機能評価依頼があり当院訪問。内視鏡下嚥下機能検査を行い,明らかな誤嚥は認めなかったため経口摂取を再開,検査後は常食を問題なく摂取していた。しかし,検査後4か月過ぎたあたりから徐々に食事摂取量が減少してきたため,患者と話をしたところ「もう食べたいものはない。食べたいものは全部食べたよ」と満足されたような表情をされ,その後は口腔ケアのみ継続,検査後5か月に衰弱でご逝去された。 なお,2例とも発表にあたり本人・家族から文書による同意を得ている。
【考察】
在宅の患者は入院中に経口摂取禁止となると退院後もそのまま継続されていることが多い。そのときに食べたいという患者の希望があれば,多職種と連携して適切に評価し経口摂取再開へ,困難な状態であっても看取りまで歯科も介入を継続することは地域医療を担う本認定歯科医師としての使命であると考えている。 (COI開示なし)(倫理審査対象外)
幌西歯科(以下当院)は,患者の「食べること」に重点を置いた歯科医院として2019年10月に開業した。以来,現在まで在宅医療機関や地域の中核病院と連携し,外来診療だけでなく在宅への歯科訪問診療を行い,歯科的な問題や食事の問題の解決に取り組んでいる。その現状を症例の供覧とともに今後にむけた課題について報告する。
【症例1】
65歳女性。20XX年脳梗塞を発症,経口摂取不可となり胃瘻造設し自宅へ退院となった。退院後,全く経口摂取をしていなかったが,20XX+5年に患者の強い希望から嚥下機能評価の依頼が訪問看護師から当院にあり訪問した。スクリーニング検査を行い,改訂水飲みテスト4点でとろみなしの水分を嚥下可能であったため,大学病院にて嚥下造影検査を実施(発表者自ら検査実施)した。結果,全粥程度の食形態であれば誤嚥なく嚥下可能であったため,在宅専門医療機関の主治医に連絡し経口摂取が再開となった。また,訪問看護・デイサービス利用時には継続して食事観察や嚥下訓練を実施,当院訪問時には加えて歯科治療も行った。20XX+6年まで全身状態の安定が確認されたため主治医が胃瘻抜去し20XX+7年現在まで良好に経過している。
【症例2】
82歳女性。衰弱に伴う嚥下機能低下で誤嚥のリスクが高いため入院中に胃瘻造設となり,いわゆる看取りで自宅へ退院となった。退院後,食べる意欲が回復してきたため,在宅専門医療機関の主治医から嚥下機能評価依頼があり当院訪問。内視鏡下嚥下機能検査を行い,明らかな誤嚥は認めなかったため経口摂取を再開,検査後は常食を問題なく摂取していた。しかし,検査後4か月過ぎたあたりから徐々に食事摂取量が減少してきたため,患者と話をしたところ「もう食べたいものはない。食べたいものは全部食べたよ」と満足されたような表情をされ,その後は口腔ケアのみ継続,検査後5か月に衰弱でご逝去された。 なお,2例とも発表にあたり本人・家族から文書による同意を得ている。
【考察】
在宅の患者は入院中に経口摂取禁止となると退院後もそのまま継続されていることが多い。そのときに食べたいという患者の希望があれば,多職種と連携して適切に評価し経口摂取再開へ,困難な状態であっても看取りまで歯科も介入を継続することは地域医療を担う本認定歯科医師としての使命であると考えている。 (COI開示なし)(倫理審査対象外)