[摂食更新P-16] 進行性核上性麻痺患者に対して理学療法士と連携して専門的立場から食事指導を行った1症例
【緒言・目的】
神経難病と診断された患者や家族の生活は日々様変わりする。なかでも,食事は欠かすことができないイベントであり,悪化する症状に対応できるように他職種と連携をしながら専門的立場から食事指導を行い,安全に食事が継続できている1例を経験したので報告する。
なお,本報告の発表について患者家族から文書による同意を得ている。
【症例および経過】
80歳の男性。進行性核上性麻痺による嚥下障害や誤嚥性肺炎の不安を主訴として家族から依頼を受け,令和4年3月18日訪問した。平成30年頃より転倒が多くなり,令和3年6月にA病院にて,進行性核上性麻痺と診断され,自宅療養中である。食形態は主食を常食,副食の軟菜を自力または一部介助にて摂取していた。食事時には動作時振戦に加えて,口への掻き込み摂取や早食いが見られた。強度の円背であり,食事時の誤嚥が疑われた。また,体重は令和3年7月の60Kgから54Kgまで減少した(減少率10%)。令和4年4月1日に嚥下内視鏡検査(以下,VE)を行い,摂食嚥下機能を精査したところ,誤嚥は認めず,わずかに喉頭蓋谷残留を認めた。
サルコペニアによる摂食嚥下障害と診断し家族との検討の結果,短期目標を誤嚥リスクの抑制,長期目標を食べる楽しみの継続とした。初期対応として誤嚥リスク抑制のため一口量を減少させることとし,食具の小型化を指導した。
しかし,病状の進行とともに姿勢悪化を認め,咀嚼物の口外流出が増加したため,理学療法士と検討してティルト式車椅子を導入し,食形態については主食を軟飯へ副食をミキサー食へ変更した。再評価のため令和5年1月24日,2回目のVEを行ったところ,喉頭蓋谷残留はなくなった。また,体重は51.1Kgで減少率が5.3%に鈍化した。
【考察】
進行性疾患であったが,嚥下機能への継続的介入で誤嚥性肺炎を発症することなく,経口摂取を継続できている。その要因として,嚥下機能の変化に対応した食形態の改善や理学療法士と連携して,ティルト式車椅子の導入など,より食べやすい環境を作り出せたことによると考えられた。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)
神経難病と診断された患者や家族の生活は日々様変わりする。なかでも,食事は欠かすことができないイベントであり,悪化する症状に対応できるように他職種と連携をしながら専門的立場から食事指導を行い,安全に食事が継続できている1例を経験したので報告する。
なお,本報告の発表について患者家族から文書による同意を得ている。
【症例および経過】
80歳の男性。進行性核上性麻痺による嚥下障害や誤嚥性肺炎の不安を主訴として家族から依頼を受け,令和4年3月18日訪問した。平成30年頃より転倒が多くなり,令和3年6月にA病院にて,進行性核上性麻痺と診断され,自宅療養中である。食形態は主食を常食,副食の軟菜を自力または一部介助にて摂取していた。食事時には動作時振戦に加えて,口への掻き込み摂取や早食いが見られた。強度の円背であり,食事時の誤嚥が疑われた。また,体重は令和3年7月の60Kgから54Kgまで減少した(減少率10%)。令和4年4月1日に嚥下内視鏡検査(以下,VE)を行い,摂食嚥下機能を精査したところ,誤嚥は認めず,わずかに喉頭蓋谷残留を認めた。
サルコペニアによる摂食嚥下障害と診断し家族との検討の結果,短期目標を誤嚥リスクの抑制,長期目標を食べる楽しみの継続とした。初期対応として誤嚥リスク抑制のため一口量を減少させることとし,食具の小型化を指導した。
しかし,病状の進行とともに姿勢悪化を認め,咀嚼物の口外流出が増加したため,理学療法士と検討してティルト式車椅子を導入し,食形態については主食を軟飯へ副食をミキサー食へ変更した。再評価のため令和5年1月24日,2回目のVEを行ったところ,喉頭蓋谷残留はなくなった。また,体重は51.1Kgで減少率が5.3%に鈍化した。
【考察】
進行性疾患であったが,嚥下機能への継続的介入で誤嚥性肺炎を発症することなく,経口摂取を継続できている。その要因として,嚥下機能の変化に対応した食形態の改善や理学療法士と連携して,ティルト式車椅子の導入など,より食べやすい環境を作り出せたことによると考えられた。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)