[優秀P一般-3] 機械的刺激による口腔乾燥の新たな改善方法に関する研究(第1報)
【目的】
近年,機械的刺激によって筋肉や骨への物理的刺激効果が得られるという基礎研究成果が多数報告されている。よって,本研究では,手指ではなく唾液腺への機械的な刺激が,唾液分泌量に与える影響を検討した。
【方法】
本研究の参加者は,東京医科歯科大学病院に来院している患者の中で,口腔水分計ムーカスによって測定した口腔湿潤度が27.0未満,または2分間の安静時唾液分泌量0.20g以下のいずれかに該当する患者11名(男性2名,女性9名,平均年齢75.5±9.8歳)とした。介入は,参加者が振動マシン(PERSONAL POWER PLATE)のプレート上に肘を置き,さらに親指を顎下腺,他の指を耳下腺に当たる位置に置いた状態で,振動周波数35Hz,振幅1-2mm,30秒間の振動を与えることを1セットとして,30秒ずつの間隔を空けて3セット行うことを週2回,1ヵ月間(計8回)実施した。介入前に口腔湿潤度および安静時唾液分泌量の測定,主観的評価を実施した。1ヵ月介入後に最終測定を行い,Wilcoxonの符号付順位和検定によって介入前後の測定値を比較した。統計ソフトはSPSS(Ver.22)を使用し,有意水準は5%とした。
【結果と考察】
介入前と1ヵ月介入後の測定値を比較した結果,2分間の安静時唾液分泌量の平均値は,介入前に0.26g,介入後に0.50gとなり,介入後に有意に増加した。口腔湿潤度の平均値は,介入前に27.6,介入後に30.3となり,増加する傾向が認められた(p=0.09)。主観的評価は,「口の乾燥感」と「乾いたものの食べにくさ」,「食べ物の飲み込みにくさ」の各項目で介入後のスコアが有意に減少した。本結果より,唾液腺周囲の組織に機械的な刺激を継続的に与えることは,口腔乾燥の改善に有用である可能性が示唆された。また,機械的な刺激は,一時的ではなく継続的な唾液分泌量の増加が期待できる可能性も考えられた。今後,口腔乾燥の新たな改善方法の確立に向け,参加者数を増やし研究を継続する。
(COI開示:なし)
(公益財団法人ライオン歯科衛生研究所倫理審査委員会承認番号 R3-8,東京医科歯科大学倫理審査委員会承認番号D2017-070)
近年,機械的刺激によって筋肉や骨への物理的刺激効果が得られるという基礎研究成果が多数報告されている。よって,本研究では,手指ではなく唾液腺への機械的な刺激が,唾液分泌量に与える影響を検討した。
【方法】
本研究の参加者は,東京医科歯科大学病院に来院している患者の中で,口腔水分計ムーカスによって測定した口腔湿潤度が27.0未満,または2分間の安静時唾液分泌量0.20g以下のいずれかに該当する患者11名(男性2名,女性9名,平均年齢75.5±9.8歳)とした。介入は,参加者が振動マシン(PERSONAL POWER PLATE)のプレート上に肘を置き,さらに親指を顎下腺,他の指を耳下腺に当たる位置に置いた状態で,振動周波数35Hz,振幅1-2mm,30秒間の振動を与えることを1セットとして,30秒ずつの間隔を空けて3セット行うことを週2回,1ヵ月間(計8回)実施した。介入前に口腔湿潤度および安静時唾液分泌量の測定,主観的評価を実施した。1ヵ月介入後に最終測定を行い,Wilcoxonの符号付順位和検定によって介入前後の測定値を比較した。統計ソフトはSPSS(Ver.22)を使用し,有意水準は5%とした。
【結果と考察】
介入前と1ヵ月介入後の測定値を比較した結果,2分間の安静時唾液分泌量の平均値は,介入前に0.26g,介入後に0.50gとなり,介入後に有意に増加した。口腔湿潤度の平均値は,介入前に27.6,介入後に30.3となり,増加する傾向が認められた(p=0.09)。主観的評価は,「口の乾燥感」と「乾いたものの食べにくさ」,「食べ物の飲み込みにくさ」の各項目で介入後のスコアが有意に減少した。本結果より,唾液腺周囲の組織に機械的な刺激を継続的に与えることは,口腔乾燥の改善に有用である可能性が示唆された。また,機械的な刺激は,一時的ではなく継続的な唾液分泌量の増加が期待できる可能性も考えられた。今後,口腔乾燥の新たな改善方法の確立に向け,参加者数を増やし研究を継続する。
(COI開示:なし)
(公益財団法人ライオン歯科衛生研究所倫理審査委員会承認番号 R3-8,東京医科歯科大学倫理審査委員会承認番号D2017-070)