[O3-2] 北九州市戸畑区における地域連携の新たな試みについて
【目的】
戸畑区は人口57000人,面積16.6㎢と北九州市行政区のうち最小面積の区である。さらに区域北部にある工場が区の面積の約半分を占めるため,非常に狭い範囲に高齢化率32%を超える人々が暮らしている。区内には,歯科・歯科口腔外科を有する地域基幹病院が2施設と40件を超える歯科医院があり,地域の口腔保健に貢献している。しかしながら入退院により,治療やケアが中断することは珍しくなく,従来の方法では解決できない地域連携の課題があるのも事実である。今回,われわれは,この課題に対し,戸畑歯科医師会在宅歯科医療連携室(以下,歯科医療連携室)を活用し,急性期病院の入院前から退院後までシームレスな歯科介入を目指した試みを行ったので報告する。
【方法】
令和4年より,当歯科医師会において,以下のような歯科医療連携室を介した新たな入退院連携システムを構築した。今回導入後1年が経過したため,連携の達成度について検討を行なった。①病院入院時にかかりつけ歯科の把握を行う②入院前にかかりつけ歯科から病院連携室への情報提供を行う③退院時の情報提供を歯科医療連携室を通じ行う④その際に主治医だけでなく退院先の療養担当者と直接連絡を取る
【結果と考察】
結果は,以下の通りである。① かかりつけ歯科の把握については,ほぼ全例で可能であった。② 入院中に歯科対診があった例は,783例であった。このうち,かかりつけ歯科からの情報提供は11例である。③ 歯科受診を行った患者のうち,連携室を通じ退院先へ情報提供を行なった例は42例(急性期病院2例,療養型病院12例,介護施設8例,自宅20例)であった。このうち看護師や衛生士によるケアが継続された例が5例,訪問歯科治療に結びついた例が15例あるが,外来通院13例,歯科介入が行われなかった例が3例,不明例も5例存在した。再入院となった症例は1例のみである。④主治医でなく,ケア担当者にケアの方法や目的を伝えることにより従来の方法よりも細かな情報共有が可能になった。
歯科医療連携室は地域連携のコアとなり得る存在である。今後,連携数を増やし,さらにシームレスな介入が実現できるように取り組みを続けたい。(COI開示:なし) (倫理審査対象外)
戸畑区は人口57000人,面積16.6㎢と北九州市行政区のうち最小面積の区である。さらに区域北部にある工場が区の面積の約半分を占めるため,非常に狭い範囲に高齢化率32%を超える人々が暮らしている。区内には,歯科・歯科口腔外科を有する地域基幹病院が2施設と40件を超える歯科医院があり,地域の口腔保健に貢献している。しかしながら入退院により,治療やケアが中断することは珍しくなく,従来の方法では解決できない地域連携の課題があるのも事実である。今回,われわれは,この課題に対し,戸畑歯科医師会在宅歯科医療連携室(以下,歯科医療連携室)を活用し,急性期病院の入院前から退院後までシームレスな歯科介入を目指した試みを行ったので報告する。
【方法】
令和4年より,当歯科医師会において,以下のような歯科医療連携室を介した新たな入退院連携システムを構築した。今回導入後1年が経過したため,連携の達成度について検討を行なった。①病院入院時にかかりつけ歯科の把握を行う②入院前にかかりつけ歯科から病院連携室への情報提供を行う③退院時の情報提供を歯科医療連携室を通じ行う④その際に主治医だけでなく退院先の療養担当者と直接連絡を取る
【結果と考察】
結果は,以下の通りである。① かかりつけ歯科の把握については,ほぼ全例で可能であった。② 入院中に歯科対診があった例は,783例であった。このうち,かかりつけ歯科からの情報提供は11例である。③ 歯科受診を行った患者のうち,連携室を通じ退院先へ情報提供を行なった例は42例(急性期病院2例,療養型病院12例,介護施設8例,自宅20例)であった。このうち看護師や衛生士によるケアが継続された例が5例,訪問歯科治療に結びついた例が15例あるが,外来通院13例,歯科介入が行われなかった例が3例,不明例も5例存在した。再入院となった症例は1例のみである。④主治医でなく,ケア担当者にケアの方法や目的を伝えることにより従来の方法よりも細かな情報共有が可能になった。
歯科医療連携室は地域連携のコアとなり得る存在である。今後,連携数を増やし,さらにシームレスな介入が実現できるように取り組みを続けたい。(COI開示:なし) (倫理審査対象外)