The 34th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(口演発表)

一般演題(口演発表) » [一般口演3] 連携医療・地域医療/加齢変化・基礎研究

一般口演3
連携医療・地域医療/加齢変化・基礎研究

Sat. Jun 17, 2023 3:05 PM - 4:05 PM 第3会場 (3階 G304)

座長:
西 恭宏(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科口腔顎顔面補綴学分野)
柏崎 晴彦(九州大学大学院歯学研究院高齢者歯科学・全身管理歯科学分野)

[O3-6] CAD/CAM法で製作した義歯床用レジンへのS。 sanguinisの唾液被覆下における付着性の検討

○小林 嵩史1、竜 正大1、石原 和幸2、上田 貴之1 (1. 東京歯科大学老年歯科補綴学講座、2. 東京歯科大学微生物学講座)

【目的】
本研究はCAD/CAM法で製作した義歯床用レジンへの,初期付着菌であるStreptococcus sanguinisの唾液被覆条件下における付着性を明らかにすることを目的とした。
【方法】
試料製作には義歯床用加熱重合レジン(以下PMMA),ミリング義歯用レジン(以下Milled),3Dプリント義歯床用レジンのうちDigital Light Processing法(以下DLP)とMaterial Jetting法(以下Polyjet)を用いた。10 mm×10 mm×2 mmで各10個ずつ製作し,製作時の上面をA面,下面をB面と定義した。研磨後表面粗さRaを測定し,超音波洗浄後に水中保管した。健常者1名から採取し,遠心分離と滅菌フィルタで濾過した唾液に試料を30分浸漬し,ペリクルを形成させた。初期付着菌S. sanguinis ATCC 10556株の懸濁液500μL中に試料を浸漬して嫌気培養し試料両面に菌を付着させた後,付着菌数をBactiter kit(Promega)にて推定した。試料のA面とB面間の表面粗さはt検定、各材料間の表面粗さはANOVAおよびTukey法にて多重比較を行い,発光強度はKruskal-Wallis検定とDunn-Bonferroni法にて分析した(α=0.05)。
【結果と考察】
A面とB面間の表面粗さはDLPでのみ有意差を認めた。DLP以外の試料はA面を用いて材料間比較を行った結果,PMMA,DLP A面の表面粗さが他3種の材料と有意差を認め小さく,次いでMilled,Polyjet,DLP B面の順であった。唾液浸漬後の試料の発光強度は中央値でPMMA:7.38×102RLU,Milled:6.4×102RLU,DLP:6.99×102RLU,Polyjet:1.0×103RLUで,どの材料間でも有意差を認めなかった。唾液非被覆下での我々の先行研究では,Polyjetが他3種の材料よりも高い菌付着性を示した。試料表面にペリクルが形成され,試料の表面性状が材料間で概ね類似したため,材料間で付着菌数に有意差が認められなかった可能性が考えられた。本研究より,CAD/CAM法で製作した義歯床用レジンへのS. sanguinisの付着性は,唾液被覆条件下でPMMAと同等であることが明らかとなった。
(COI開示:なし)(倫理審査対象外)