[O6-1] 歯科訪問診療におけるエアロゾル発生状況に関する基礎的検討
【目的】
新型コロナウイルス感染症の蔓延により,易感染性患者を対象とする歯科訪問診療では徹底した感染対策が求められる。しかし,歯科訪問診療時にどの程度の飛沫が飛散しているかを検討した研究は未だ少ない。
本研究では,ファーラー位での歯科処置時の飛沫飛散状況がポータブルユニット付属の口腔内バキューム使用の有無で変化するかを検討した。
【方法】
学生実習用ファントムに顎模型を装着し,デンタルユニットにてファーラー位45度となるように固定した。処置部位は,全て上顎左側中切歯とした。実施処置は,歯ブラシによる歯面清掃,増速用マイクロモーターによる切削,超音波スケーラーによる歯石除去,マイクロモーターによる歯面清掃とした。各処置は,5秒ごとに吸引なし,口腔内バキューム吸引ありの順に吸引条件を変更して各処置を行った。微粒子可視システムにより撮影された画像から,吸引なし・口腔内バキューム吸引ありの各条件における飛沫数・飛沫エリアをImageJを用いて算出した。
【結果と考察】
今回検討を行った全ての処置で飛沫飛散が確認された。吸引なしでは,飛沫数は増速用マイクロモーターによる切削,マイクロモーターによる歯面清掃,歯ブラシによる歯面清掃,超音波スケーラーによる歯石除去の順に多く,口腔内バキューム吸引ありでは,飛沫数は増速用マイクロモーターによる切削,歯ブラシによる歯面清掃,マイクロモーターによる歯面清掃,超音波スケーラーによる歯石除去の順に多かった。また,飛沫数は全ての処置で口腔内バキューム吸引ありは吸引なしよりも減少した。しかし,口腔内バキューム吸引のみでは飛沫を捕集しきれず,診療スペースへの飛沫拡散を完全に防ぐことはできなかった。
介護施設や居宅といった生活の場で実施される歯科訪問診療では,口腔外バキュームの使用ができないことがほとんどである。今回検討した歯科処置は全てエアロゾル産生手技と考えられ,ポータブルユニット付属の口腔内バキューム吸引にて飛沫飛散量が減じた。しかし,診療スペース全体では,飛沫飛散に対するコントロールが不十分である可能性が示唆された。よって,歯科医療従事者の感染防護のためには,高速回転器具を使用しない処置においても個人防護具の適正使用と適正な換気に努める必要があると考えられた。
(COI 開示:なし)(倫理審査対象外)
新型コロナウイルス感染症の蔓延により,易感染性患者を対象とする歯科訪問診療では徹底した感染対策が求められる。しかし,歯科訪問診療時にどの程度の飛沫が飛散しているかを検討した研究は未だ少ない。
本研究では,ファーラー位での歯科処置時の飛沫飛散状況がポータブルユニット付属の口腔内バキューム使用の有無で変化するかを検討した。
【方法】
学生実習用ファントムに顎模型を装着し,デンタルユニットにてファーラー位45度となるように固定した。処置部位は,全て上顎左側中切歯とした。実施処置は,歯ブラシによる歯面清掃,増速用マイクロモーターによる切削,超音波スケーラーによる歯石除去,マイクロモーターによる歯面清掃とした。各処置は,5秒ごとに吸引なし,口腔内バキューム吸引ありの順に吸引条件を変更して各処置を行った。微粒子可視システムにより撮影された画像から,吸引なし・口腔内バキューム吸引ありの各条件における飛沫数・飛沫エリアをImageJを用いて算出した。
【結果と考察】
今回検討を行った全ての処置で飛沫飛散が確認された。吸引なしでは,飛沫数は増速用マイクロモーターによる切削,マイクロモーターによる歯面清掃,歯ブラシによる歯面清掃,超音波スケーラーによる歯石除去の順に多く,口腔内バキューム吸引ありでは,飛沫数は増速用マイクロモーターによる切削,歯ブラシによる歯面清掃,マイクロモーターによる歯面清掃,超音波スケーラーによる歯石除去の順に多かった。また,飛沫数は全ての処置で口腔内バキューム吸引ありは吸引なしよりも減少した。しかし,口腔内バキューム吸引のみでは飛沫を捕集しきれず,診療スペースへの飛沫拡散を完全に防ぐことはできなかった。
介護施設や居宅といった生活の場で実施される歯科訪問診療では,口腔外バキュームの使用ができないことがほとんどである。今回検討した歯科処置は全てエアロゾル産生手技と考えられ,ポータブルユニット付属の口腔内バキューム吸引にて飛沫飛散量が減じた。しかし,診療スペース全体では,飛沫飛散に対するコントロールが不十分である可能性が示唆された。よって,歯科医療従事者の感染防護のためには,高速回転器具を使用しない処置においても個人防護具の適正使用と適正な換気に努める必要があると考えられた。
(COI 開示:なし)(倫理審査対象外)