[O6-4] 口腔機能低下症患者に対する3か月間の口腔健康管理が栄養状態に与える影響
【目的】
口腔機能低下症と診断された65歳以上の外来患者に対する3か月間の口腔健康管理が,栄養状態にどのように影響するのかを明らかにすること。
【方法】
東京歯科大学水道橋病院補綴科で口腔機能低下症と診断された65歳以上の患者48名を無作為に口腔機能管理(介入)群と口腔衛生管理(対照)群に分け,3か月間の口腔健康管理を実施した。診断時,1.5か月後,3か月後において,口腔機能精密検査,Body Mass Index(BMI),Mini Nutritional Assessment(MNA)等の栄養状態の評価を行った。 介入群には栄養指導と,低下が認められた口腔機能に対する訓練を毎日行うよう指導した。対照群には義歯や口腔内の清掃指導を行った。診断時と3か月後の口腔機能精密検査で低下に該当した項目数および各計測値をWilcoxonの符号付順位検定で比較した(α=0.05)。また,各群における口腔機能低下症からの回復率(%)を算出した。
【結果と考察】
口腔機能精密検査の該当項目数(平均値±標準偏差)は,介入群24名(平均年齢78±8歳)において診断時3.7±0.7,3か月後2.5±1.4で有意差を認めた。対照群24名(平均年齢82±5歳)は,診断時3.9±0.9,3か月後2.6±1.2で有意差を認めた。MNA(平均値±標準偏差)は,介入群で診断時25.2±2.7から3か月後26.4±2.6となり,有意差を認めた。対照群では,診断時26.0±2.2から3か月後25.7±2.4となり,有意差は認めなかった。BMI(平均値±標準偏差)は,介入群で診断時24.1±3.5,3月後24.1±3.8となり,有意差を認めなかった。対照群では,診断時22.5±2.6,3か月後22.6±2.7となり,有意差を認めなかった。回復率は介入群で54.2%,対照群で50.0%だった。
今回,介入群においてのみMNAの向上を認めた。これは口腔機能訓練と栄養指導の効果と考えられる。栄養状態の改善には口腔機能へのアプローチに加え栄養指導の実施が重要である可能性が示された。
本研究結果より,口腔機能低下症と診断された65歳以上の外来患者において,3か月間の口腔健康管理により口腔機能精密検査の低下項目数の減少ならびにMNAの改善が認められた。
(COI開示:なし)
(東京歯科大学 倫理審査委員会承認番号 1094)
口腔機能低下症と診断された65歳以上の外来患者に対する3か月間の口腔健康管理が,栄養状態にどのように影響するのかを明らかにすること。
【方法】
東京歯科大学水道橋病院補綴科で口腔機能低下症と診断された65歳以上の患者48名を無作為に口腔機能管理(介入)群と口腔衛生管理(対照)群に分け,3か月間の口腔健康管理を実施した。診断時,1.5か月後,3か月後において,口腔機能精密検査,Body Mass Index(BMI),Mini Nutritional Assessment(MNA)等の栄養状態の評価を行った。 介入群には栄養指導と,低下が認められた口腔機能に対する訓練を毎日行うよう指導した。対照群には義歯や口腔内の清掃指導を行った。診断時と3か月後の口腔機能精密検査で低下に該当した項目数および各計測値をWilcoxonの符号付順位検定で比較した(α=0.05)。また,各群における口腔機能低下症からの回復率(%)を算出した。
【結果と考察】
口腔機能精密検査の該当項目数(平均値±標準偏差)は,介入群24名(平均年齢78±8歳)において診断時3.7±0.7,3か月後2.5±1.4で有意差を認めた。対照群24名(平均年齢82±5歳)は,診断時3.9±0.9,3か月後2.6±1.2で有意差を認めた。MNA(平均値±標準偏差)は,介入群で診断時25.2±2.7から3か月後26.4±2.6となり,有意差を認めた。対照群では,診断時26.0±2.2から3か月後25.7±2.4となり,有意差は認めなかった。BMI(平均値±標準偏差)は,介入群で診断時24.1±3.5,3月後24.1±3.8となり,有意差を認めなかった。対照群では,診断時22.5±2.6,3か月後22.6±2.7となり,有意差を認めなかった。回復率は介入群で54.2%,対照群で50.0%だった。
今回,介入群においてのみMNAの向上を認めた。これは口腔機能訓練と栄養指導の効果と考えられる。栄養状態の改善には口腔機能へのアプローチに加え栄養指導の実施が重要である可能性が示された。
本研究結果より,口腔機能低下症と診断された65歳以上の外来患者において,3か月間の口腔健康管理により口腔機能精密検査の低下項目数の減少ならびにMNAの改善が認められた。
(COI開示:なし)
(東京歯科大学 倫理審査委員会承認番号 1094)