[O6-7] 高齢者の機能歯増加処置および栄養指導 がフレイル改善に及ぼす可能性の検証
【目的】
2018年4月の診療報酬改定において,オーラルフレイル状態の高齢者に対して検査結果の新規病名として「口腔機能低下症」が収載された。その診断基準に該当した歯の欠損を有する患者に対して「機能歯増加(義歯装着)」を行った場合,保険ルール上「管理計画(栄養指導等)」の実施が定められている。このことが口腔機能低下の重症化を予防,改善を図り,それがフレイル改善,そして国民の健康寿命の延伸に繋がる可能性の検証が目的である。
【方法】
座間市および鎌倉市歯科医師会に所属する歯科クリニック,神奈川歯科大学附属病院で実施した。歯の欠損を有する高齢者に対して,通法の可撤式義歯装着(機能歯 改善処置)後の管理計画の実施の有無による影響を検証する観察研究デザインとした。歯の欠損を有する 65歳以上の患者に対して,医科的既往歴,歯科的既往歴,生活習慣質問の基本資料,口腔機能検査,フレイル検査を実施し,これをベースラインとした。その結果から,保険上の診断基準に従い患者を『口腔機能低下症群(+)』と『口腔機能低下症(-)』に分け,(+)群に対してのみ管理指導(栄養指導)を行ったものを『D-M群』,『口腔機能低下症(-)・義歯装着のみ』は『D群』とした。介入内容:①歯の欠損に対する可撤性義歯の製作 ②管理計画(口腔機能管理,栄養指導) グループ設定:①D群(口腔機能低下症−,管理計画−) ②D-M群(口腔機能低下症+,管理計画+) 検査時期:①術前 義歯装着前の状態 ②3か月後疼痛がない状態 ③6か月後 疼痛がない状態
【結果】
登録患者51名(2021年5月12日~2022年5月19日)は,男性22例,女性29例であっであった。義歯製作前の 医科的既往歴,歯科的既往歴,生活習慣において両 群間に差は認められなかった。口腔機能検査および フレイル検査においてはいくつかの項目において両群間に差が認められた。今回は,義歯装着後6か月後まで計測された 『D群』18例(男性6例,女性12例,75.8±5.8歳),『D-M群』28例(男性13例,女性15例,79.0±8.2歳)の義歯装着前と装着3か月後、6か月後の検査結果について分析した。
【結論】
【D-M群】口腔機能低下症該当数は,初診時から3か月および6か月にかけて有意に減少した。BMIは初診時から3か月および6か月おいて大きな変化は見られなかった。【D群】口腔機能低下症該当数には有意な変化は見られなかった。BMIは初診時から3か月および6か月にかけて有意に増加した。
(COI 開示:なし) (神奈川歯科大学 倫理審査委員会承認番号 第737番)
2018年4月の診療報酬改定において,オーラルフレイル状態の高齢者に対して検査結果の新規病名として「口腔機能低下症」が収載された。その診断基準に該当した歯の欠損を有する患者に対して「機能歯増加(義歯装着)」を行った場合,保険ルール上「管理計画(栄養指導等)」の実施が定められている。このことが口腔機能低下の重症化を予防,改善を図り,それがフレイル改善,そして国民の健康寿命の延伸に繋がる可能性の検証が目的である。
【方法】
座間市および鎌倉市歯科医師会に所属する歯科クリニック,神奈川歯科大学附属病院で実施した。歯の欠損を有する高齢者に対して,通法の可撤式義歯装着(機能歯 改善処置)後の管理計画の実施の有無による影響を検証する観察研究デザインとした。歯の欠損を有する 65歳以上の患者に対して,医科的既往歴,歯科的既往歴,生活習慣質問の基本資料,口腔機能検査,フレイル検査を実施し,これをベースラインとした。その結果から,保険上の診断基準に従い患者を『口腔機能低下症群(+)』と『口腔機能低下症(-)』に分け,(+)群に対してのみ管理指導(栄養指導)を行ったものを『D-M群』,『口腔機能低下症(-)・義歯装着のみ』は『D群』とした。介入内容:①歯の欠損に対する可撤性義歯の製作 ②管理計画(口腔機能管理,栄養指導) グループ設定:①D群(口腔機能低下症−,管理計画−) ②D-M群(口腔機能低下症+,管理計画+) 検査時期:①術前 義歯装着前の状態 ②3か月後疼痛がない状態 ③6か月後 疼痛がない状態
【結果】
登録患者51名(2021年5月12日~2022年5月19日)は,男性22例,女性29例であっであった。義歯製作前の 医科的既往歴,歯科的既往歴,生活習慣において両 群間に差は認められなかった。口腔機能検査および フレイル検査においてはいくつかの項目において両群間に差が認められた。今回は,義歯装着後6か月後まで計測された 『D群』18例(男性6例,女性12例,75.8±5.8歳),『D-M群』28例(男性13例,女性15例,79.0±8.2歳)の義歯装着前と装着3か月後、6か月後の検査結果について分析した。
【結論】
【D-M群】口腔機能低下症該当数は,初診時から3か月および6か月にかけて有意に減少した。BMIは初診時から3か月および6か月おいて大きな変化は見られなかった。【D群】口腔機能低下症該当数には有意な変化は見られなかった。BMIは初診時から3か月および6か月にかけて有意に増加した。
(COI 開示:なし) (神奈川歯科大学 倫理審査委員会承認番号 第737番)