[P06] 【調査】都市部在住認知機能低下高齢者の受療勧奨者の背景因子について
【目的】
加齢に伴う認知機能低下は、種々の要因から口腔環境の悪化を招く。そのまま放置することは口腔疾患、低栄養の契機になるばかりでなく全身疾患悪化に影響することが知られている。我々の行った訪問口腔調査においては認知機能低下高齢者の多くに、口腔健康状態の悪化が見られたが、歯科受療行動を起こしていなかったことが明らかになった。この結果より、都市部在住認知機能低下高齢者から受療勧奨者を発見し、受療に繋げる仕組み作りが課題となった。今回我々は、受療勧奨者の発見に役立て歯科介入に繋げるため、都市部在住認知機能低下高齢者での受療勧奨者の背景因子を分析したので報告する。
【方法】
東京都I区在住で、継続的な地域介入調査においてみられた認知機能低下している者75名を対象とした。精神科医師、心理士、歯科医師、歯科衛生士がチームを組み訪問調査を行った。日本語版Oral Health Assessment Tool(OHAT-J)、CDR(認知機能評価)の客観的評価の他、「これまでの歯科受診経験と受療習慣」「移動に関係する身体の疼痛等」「生活習慣」を聞き取った。OHAT-Jスコアが2以上の評価項目があれば受療勧奨者とし、関連する要因をχ2検定、ロジスティック回帰分析によって検討した。
【結果と考察】
受療勧奨者は35人(46.6%)であった。認知機能低下疑いの者(CDR0.5以下)と比較して認知機能低下者(CDR1以上)では、有意に受療勧奨者が多く(P=0.005)、定期受診でなく、有症状のときのみの受療習慣の者に、受療勧奨者が多い傾向にあった(P=0.058)。年齢(連続数)、性別、喫煙習慣を調整変数として投入してロジスティック回帰分析を行ったところ、認知機能低下者(オッズ比6.23、P=0.011(95%CI:1.53-25.31))、高齢(オッズ比1.14、P=0.025(95%CI:1.01-1.28))ほど受療勧奨者が多かった。 高齢でかつ認知機能が低下しながらも地域で暮らしている人たちは、適切な歯科受療勧奨を受けていないということが推察された。また、これまでの受療習慣を考慮した上で、本人にとって配慮のある受療勧奨方法を選択していく必要性が示唆された。
(COI開示:なし)(東京都健康長寿医療センター研究所 倫理審査委員会承認番号 元健イ事第3146号)
加齢に伴う認知機能低下は、種々の要因から口腔環境の悪化を招く。そのまま放置することは口腔疾患、低栄養の契機になるばかりでなく全身疾患悪化に影響することが知られている。我々の行った訪問口腔調査においては認知機能低下高齢者の多くに、口腔健康状態の悪化が見られたが、歯科受療行動を起こしていなかったことが明らかになった。この結果より、都市部在住認知機能低下高齢者から受療勧奨者を発見し、受療に繋げる仕組み作りが課題となった。今回我々は、受療勧奨者の発見に役立て歯科介入に繋げるため、都市部在住認知機能低下高齢者での受療勧奨者の背景因子を分析したので報告する。
【方法】
東京都I区在住で、継続的な地域介入調査においてみられた認知機能低下している者75名を対象とした。精神科医師、心理士、歯科医師、歯科衛生士がチームを組み訪問調査を行った。日本語版Oral Health Assessment Tool(OHAT-J)、CDR(認知機能評価)の客観的評価の他、「これまでの歯科受診経験と受療習慣」「移動に関係する身体の疼痛等」「生活習慣」を聞き取った。OHAT-Jスコアが2以上の評価項目があれば受療勧奨者とし、関連する要因をχ2検定、ロジスティック回帰分析によって検討した。
【結果と考察】
受療勧奨者は35人(46.6%)であった。認知機能低下疑いの者(CDR0.5以下)と比較して認知機能低下者(CDR1以上)では、有意に受療勧奨者が多く(P=0.005)、定期受診でなく、有症状のときのみの受療習慣の者に、受療勧奨者が多い傾向にあった(P=0.058)。年齢(連続数)、性別、喫煙習慣を調整変数として投入してロジスティック回帰分析を行ったところ、認知機能低下者(オッズ比6.23、P=0.011(95%CI:1.53-25.31))、高齢(オッズ比1.14、P=0.025(95%CI:1.01-1.28))ほど受療勧奨者が多かった。 高齢でかつ認知機能が低下しながらも地域で暮らしている人たちは、適切な歯科受療勧奨を受けていないということが推察された。また、これまでの受療習慣を考慮した上で、本人にとって配慮のある受療勧奨方法を選択していく必要性が示唆された。
(COI開示:なし)(東京都健康長寿医療センター研究所 倫理審査委員会承認番号 元健イ事第3146号)