[P11] 非経口栄養管理中の要介護高齢者に対する口腔衛生管理に関する検討
【目的】
非経口栄養管理中の者では,口腔の自浄作用の低下やケア不十分により,口腔衛生状態が不良になりやすい。そのため非経口栄養管理中の者においても継続的な口腔衛生管理が必要と言われているが,その口腔衛生状態の実態は明らかにされていない。そこで本研究では,要介護高齢者を対象に口腔衛生状態の調査を実施し,非経口栄養管理中の要介護高齢者での効果的な口腔衛生管理を検討することを目的とした。
【方法】
対象者は2019年に実施の調査に参加したA県の介護保険施設等に入所中の要介護高齢者249名とした。調査項目は,性別,年齢,Barthel Index(BI),主な栄養摂取方法(経口栄養,それ以外),既往歴,口腔衛生状態(プラーク・舌苔付着,口腔乾燥),口腔清掃習慣(口腔清掃行為の自立,口腔清掃回数)等とした。主な栄養摂取方法が経口栄養以外の者を非経口栄養群として経口栄養群と両群間での比較を行い,口腔衛生状態不良の関連因子について二項ロジスティク回帰分析を行った。
【結果と考察】
非経口栄養群(37名,平均年齢81.8±12.2歳,男性51.4%)では,経口栄養群(212名,平均年齢87.2±7.3歳,男性20.8%)と比較して,有意に脳血管障害既往者が多く,BI値が低く,プラーク,舌苔,口腔乾燥を認める者が多く,口腔清掃行為が自立している者が少なかった(p<0.05)。また,口腔衛生状態不良の関連因子(オッズ比、95%信頼区間)としてプラーク付着にはBI(0.98、0.96-0.99),残存歯数(1.18、1.11-1.26)が,舌苔付着には非経口栄養管理中であること(7.25、1.82-28.9),口腔乾燥には非経口栄養管理中であること(3.89、1.34-11.21)があげられた。以上より,多くの非経口栄養管理者はADLが低下しており,セルフケアが困難なため口腔衛生状態不良であると考えられた。またプラーク付着にはADLや残存歯の存在が関連するが,舌苔付着や口腔乾燥には非経口栄養管理の状態が関連することから,非経口栄養管理者の口腔環境を良好に保つためには,介助者による口腔清掃に加え,舌等の口腔粘膜の衛生,保湿管理が必要であることが示された。(COI開示:なし)(東京都健康長寿医療センター研究倫理委員会承認番号37)
非経口栄養管理中の者では,口腔の自浄作用の低下やケア不十分により,口腔衛生状態が不良になりやすい。そのため非経口栄養管理中の者においても継続的な口腔衛生管理が必要と言われているが,その口腔衛生状態の実態は明らかにされていない。そこで本研究では,要介護高齢者を対象に口腔衛生状態の調査を実施し,非経口栄養管理中の要介護高齢者での効果的な口腔衛生管理を検討することを目的とした。
【方法】
対象者は2019年に実施の調査に参加したA県の介護保険施設等に入所中の要介護高齢者249名とした。調査項目は,性別,年齢,Barthel Index(BI),主な栄養摂取方法(経口栄養,それ以外),既往歴,口腔衛生状態(プラーク・舌苔付着,口腔乾燥),口腔清掃習慣(口腔清掃行為の自立,口腔清掃回数)等とした。主な栄養摂取方法が経口栄養以外の者を非経口栄養群として経口栄養群と両群間での比較を行い,口腔衛生状態不良の関連因子について二項ロジスティク回帰分析を行った。
【結果と考察】
非経口栄養群(37名,平均年齢81.8±12.2歳,男性51.4%)では,経口栄養群(212名,平均年齢87.2±7.3歳,男性20.8%)と比較して,有意に脳血管障害既往者が多く,BI値が低く,プラーク,舌苔,口腔乾燥を認める者が多く,口腔清掃行為が自立している者が少なかった(p<0.05)。また,口腔衛生状態不良の関連因子(オッズ比、95%信頼区間)としてプラーク付着にはBI(0.98、0.96-0.99),残存歯数(1.18、1.11-1.26)が,舌苔付着には非経口栄養管理中であること(7.25、1.82-28.9),口腔乾燥には非経口栄養管理中であること(3.89、1.34-11.21)があげられた。以上より,多くの非経口栄養管理者はADLが低下しており,セルフケアが困難なため口腔衛生状態不良であると考えられた。またプラーク付着にはADLや残存歯の存在が関連するが,舌苔付着や口腔乾燥には非経口栄養管理の状態が関連することから,非経口栄養管理者の口腔環境を良好に保つためには,介助者による口腔清掃に加え,舌等の口腔粘膜の衛生,保湿管理が必要であることが示された。(COI開示:なし)(東京都健康長寿医療センター研究倫理委員会承認番号37)