[P38] 地域在住高齢者のオーラルフレイルに関する実態調査
【目的】
近年,オーラルフレイルが心身機能の低下や低栄養に関与することが注目され,2018年4月から口腔機能低下症の保険診療が始まった。また,一般歯科診療所に受診する患者のうち,50歳代以降は半数以上が口腔機能低下症であることが明らかとなっており,高齢期以前の比較的早期からオーラルフレイルへの対策が必要であると考えられる。しかしながら,口腔の衰えに自覚がない場合,歯科への受療行動につながらないのが現状である。そこで本研究は,地域在住の高齢者におけるオーラルフレイルの実情とオーラルフレイルに対するニーズについて,聞き取り調査によって明らかにすることを目的とした。
【方法】
高齢化率の高い地区で実施された介護予防センター主催の地域住民を対象とした健康フェアに参加した者に対し,質問紙による聞き取り調査を行った。質問紙には歯や口腔領域の主訴,歯科受療状況や行動,オーラルフレイルに関するスクリーニング質問表(OFI-8)が含まれていた。質問紙に回答した高齢者を本研究の対象者とした。
【結果と考察】
対象者は18名(男性6名,女性12名,68〜84歳)であった。かかりつけの歯科がある者は16名であった。「口や飲み込みの機能」について気になると回答した者は4名のみであったが,「口や飲み込みの機能」に対して歯科を受診している者はいなかった。「オーラルフレイルを知っていますか」という質問に対し,「知らない」と回答した者は15名と多かった。OFI-8について,「オーラルフレイルの危険性が高い」者は9名であり,「オーラルフレイルの危険性がある」者の4名を含めると,13名にオーラルフレイルの可能性があると考えられた。以上の結果から,オーラルフレイルという言葉自体が本研究対象地域の高齢者にはほとんど知られておらず,オーラルフレイルであるにも関わらずそれを自覚している者が少なく,自覚していても歯科への受療行動につながっていない可能性が示唆された。これらのことから,本研究対象の地域在住高齢者の多数がオーラルフレイルである可能性が示唆され,地域の一般歯科診療所におけるオーラルフレイルへの対応や啓蒙活動などがまだ不十分である可能性も示唆された。
(COI開示:なし)
(定山渓病院研究倫理審査 第202204号)
近年,オーラルフレイルが心身機能の低下や低栄養に関与することが注目され,2018年4月から口腔機能低下症の保険診療が始まった。また,一般歯科診療所に受診する患者のうち,50歳代以降は半数以上が口腔機能低下症であることが明らかとなっており,高齢期以前の比較的早期からオーラルフレイルへの対策が必要であると考えられる。しかしながら,口腔の衰えに自覚がない場合,歯科への受療行動につながらないのが現状である。そこで本研究は,地域在住の高齢者におけるオーラルフレイルの実情とオーラルフレイルに対するニーズについて,聞き取り調査によって明らかにすることを目的とした。
【方法】
高齢化率の高い地区で実施された介護予防センター主催の地域住民を対象とした健康フェアに参加した者に対し,質問紙による聞き取り調査を行った。質問紙には歯や口腔領域の主訴,歯科受療状況や行動,オーラルフレイルに関するスクリーニング質問表(OFI-8)が含まれていた。質問紙に回答した高齢者を本研究の対象者とした。
【結果と考察】
対象者は18名(男性6名,女性12名,68〜84歳)であった。かかりつけの歯科がある者は16名であった。「口や飲み込みの機能」について気になると回答した者は4名のみであったが,「口や飲み込みの機能」に対して歯科を受診している者はいなかった。「オーラルフレイルを知っていますか」という質問に対し,「知らない」と回答した者は15名と多かった。OFI-8について,「オーラルフレイルの危険性が高い」者は9名であり,「オーラルフレイルの危険性がある」者の4名を含めると,13名にオーラルフレイルの可能性があると考えられた。以上の結果から,オーラルフレイルという言葉自体が本研究対象地域の高齢者にはほとんど知られておらず,オーラルフレイルであるにも関わらずそれを自覚している者が少なく,自覚していても歯科への受療行動につながっていない可能性が示唆された。これらのことから,本研究対象の地域在住高齢者の多数がオーラルフレイルである可能性が示唆され,地域の一般歯科診療所におけるオーラルフレイルへの対応や啓蒙活動などがまだ不十分である可能性も示唆された。
(COI開示:なし)
(定山渓病院研究倫理審査 第202204号)