[P40] 地域在住自立高齢者における口腔機能向上プログラム効果の縦断的調査
~介入前後およびコロナ自粛2年経過後との比較から~
【目的】
地域在住高齢者における日常生活で実施可能な口腔機能向上プログラム効果を,介入前後およびコロナ自粛2年経過後において検証すること。
【方法】
対象者は2019年11月から2021年10月に開催された大阪府M市自治会主催の健康講座に参加した65歳以上の地域在住自立高齢者26名(男性10名,女性16名,平均年齢76.9±5.8歳)とした。調査内容は,年齢,性別,口腔機能低下症評価項目の7項目とした。対象者にはベースライン(BL)時に自宅で行う口腔機能向上プログラム(舌による頬の押し出し,舌ブラシによる清掃,30秒間のぶくぶくうがい)を1日1回実施するよう指導した。同様の調査をBLから12週間後と2年後に行い,口腔機能低下症と各項目の有病率の変化について比較した。分析はWilcoxon検定とMcNemar検定を用い,有意水準は5%とした。
【結果と考察】
BLと12週間後の比較では,BL時に口腔機能低下症に該当した人が非該当者になった割合は45.0% (20名中9名),非該当者が該当者になった割合は33.3% (6名中2名)で,有意差は認められなかったものの改善傾向が示された(p=0.065)。口腔機能低下症7項目については,オーラルディアドコキネシス/ka/(p=0.015),口腔乾燥(p=0.023)の項目で有意に改善が認められた。BLと2年後の比較では,BL時に口腔機能低下症に該当した人が非該当者になった割合は50.0% (20名中10名),非該当者が該当者になった割合は16.7% (6名中1名)で有意差が認められた(p=0.012)。また,咀嚼機能(p=0.002)と口腔乾燥(p<0.001)の項目で有意に改善が認められたが,口腔不潔は悪化していた(p=0.021)。今回の結果より,自粛生活による口腔機能の低下が懸念されるコロナ禍においても,口腔機能向上プログラムを高齢者自らが日常的に継続して実施することにより,口腔機能低下症が改善される可能性が示唆された。一方で,口腔不潔の悪化が認められ,マスク着用や自粛生活が高齢者の口腔衛生への関心度を低下させる要因となる可能性が示唆された。
(COI開示:なし)(梅花女子大学倫理審査委員会承認番号:0010-0091)
地域在住高齢者における日常生活で実施可能な口腔機能向上プログラム効果を,介入前後およびコロナ自粛2年経過後において検証すること。
【方法】
対象者は2019年11月から2021年10月に開催された大阪府M市自治会主催の健康講座に参加した65歳以上の地域在住自立高齢者26名(男性10名,女性16名,平均年齢76.9±5.8歳)とした。調査内容は,年齢,性別,口腔機能低下症評価項目の7項目とした。対象者にはベースライン(BL)時に自宅で行う口腔機能向上プログラム(舌による頬の押し出し,舌ブラシによる清掃,30秒間のぶくぶくうがい)を1日1回実施するよう指導した。同様の調査をBLから12週間後と2年後に行い,口腔機能低下症と各項目の有病率の変化について比較した。分析はWilcoxon検定とMcNemar検定を用い,有意水準は5%とした。
【結果と考察】
BLと12週間後の比較では,BL時に口腔機能低下症に該当した人が非該当者になった割合は45.0% (20名中9名),非該当者が該当者になった割合は33.3% (6名中2名)で,有意差は認められなかったものの改善傾向が示された(p=0.065)。口腔機能低下症7項目については,オーラルディアドコキネシス/ka/(p=0.015),口腔乾燥(p=0.023)の項目で有意に改善が認められた。BLと2年後の比較では,BL時に口腔機能低下症に該当した人が非該当者になった割合は50.0% (20名中10名),非該当者が該当者になった割合は16.7% (6名中1名)で有意差が認められた(p=0.012)。また,咀嚼機能(p=0.002)と口腔乾燥(p<0.001)の項目で有意に改善が認められたが,口腔不潔は悪化していた(p=0.021)。今回の結果より,自粛生活による口腔機能の低下が懸念されるコロナ禍においても,口腔機能向上プログラムを高齢者自らが日常的に継続して実施することにより,口腔機能低下症が改善される可能性が示唆された。一方で,口腔不潔の悪化が認められ,マスク着用や自粛生活が高齢者の口腔衛生への関心度を低下させる要因となる可能性が示唆された。
(COI開示:なし)(梅花女子大学倫理審査委員会承認番号:0010-0091)