[P42] 食事形態の違いが口腔内細菌数に与える影響について
【目的】
要介護高齢者ではADLが低く、残存歯の数が多い者ほど口腔内の細菌数も多いことが明らかとなっている。口腔ケアを効率よく行うためには、口腔内細菌の増加するタイミングや口腔内細菌が増加しやすい食事形態を明らかにすることが重要と考える。本研究は、異なる食事形態を摂取した際の口腔内細菌数の違いを明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は、本研究の参加に同意の得られた健康成人2名(男性A、年齢39歳、女性B、年齢25歳)である。対象者の口腔内細菌数の測定は口腔内細菌カウンタ®を用い、測定部位は舌背、舌下の2か所とした。食事形態は常食、ピューレ食の2種類とし、個人間の差が出ないよう、メニュー、摂取カロリーは同一とした。測定は3日間行い、1日目の就寝前、2日目起床時、朝食前、朝食後、昼食前、昼食後、夕食前、夕食後、就寝前、3日目起床時、ブラッシング後の合計11回行った。初回の細菌数測定に関しては、測定の1時間以上前にブラッシングを終了させた。また、ピューレ食の測定に関しては、ウォッシュアウト期間として3日以上の時間を設けた。
【結果と考察】
常食摂取時、舌背において、対象者Aは夕食後、Bは2日目起床時が最も細菌数が多かった。常食摂取時、舌下においてAは2日目起床時が最も細菌数が多く、Bは夕食時が最も細菌数が多かった。同様にピューレ食摂取時、舌背においてAは3日目起床時が、Bは2日目起床時が最も細菌数が多く、舌下ではAは2日目昼食後、Bは2日目就寝前が最も細菌数が多かった。測定された細菌数が最も多かった食事形態と部位はピューレ食摂取時の舌背であった。
これらの結果より、舌背は2名とも細菌数が多く、乳頭に細菌が付着しやすい可能性がある。また、咀嚼運動により、唾液が分泌されて自浄作用が働くが、ピューレ食は口腔内に停滞しやすい食事形態であることから、口腔内細菌が多く認められたと考えられた。さらに、Aは2日目起床時、Bは1日目起床時細菌数が最も多かったことから、就寝中に口腔内細菌数が増加することを示している。
【まとめ】
口腔機能の低下した要介護高齢者においては、健常若年者よりも口腔内細菌が増加しやすい状況にあると考えられるため、口腔内細菌の増加の予防として就寝前の口腔ケアが有効であると考えられた。
(COI開示:なし)
(日本歯科大学倫理審査委員会、承認番号NDU-T2022-32)
要介護高齢者ではADLが低く、残存歯の数が多い者ほど口腔内の細菌数も多いことが明らかとなっている。口腔ケアを効率よく行うためには、口腔内細菌の増加するタイミングや口腔内細菌が増加しやすい食事形態を明らかにすることが重要と考える。本研究は、異なる食事形態を摂取した際の口腔内細菌数の違いを明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は、本研究の参加に同意の得られた健康成人2名(男性A、年齢39歳、女性B、年齢25歳)である。対象者の口腔内細菌数の測定は口腔内細菌カウンタ®を用い、測定部位は舌背、舌下の2か所とした。食事形態は常食、ピューレ食の2種類とし、個人間の差が出ないよう、メニュー、摂取カロリーは同一とした。測定は3日間行い、1日目の就寝前、2日目起床時、朝食前、朝食後、昼食前、昼食後、夕食前、夕食後、就寝前、3日目起床時、ブラッシング後の合計11回行った。初回の細菌数測定に関しては、測定の1時間以上前にブラッシングを終了させた。また、ピューレ食の測定に関しては、ウォッシュアウト期間として3日以上の時間を設けた。
【結果と考察】
常食摂取時、舌背において、対象者Aは夕食後、Bは2日目起床時が最も細菌数が多かった。常食摂取時、舌下においてAは2日目起床時が最も細菌数が多く、Bは夕食時が最も細菌数が多かった。同様にピューレ食摂取時、舌背においてAは3日目起床時が、Bは2日目起床時が最も細菌数が多く、舌下ではAは2日目昼食後、Bは2日目就寝前が最も細菌数が多かった。測定された細菌数が最も多かった食事形態と部位はピューレ食摂取時の舌背であった。
これらの結果より、舌背は2名とも細菌数が多く、乳頭に細菌が付着しやすい可能性がある。また、咀嚼運動により、唾液が分泌されて自浄作用が働くが、ピューレ食は口腔内に停滞しやすい食事形態であることから、口腔内細菌が多く認められたと考えられた。さらに、Aは2日目起床時、Bは1日目起床時細菌数が最も多かったことから、就寝中に口腔内細菌数が増加することを示している。
【まとめ】
口腔機能の低下した要介護高齢者においては、健常若年者よりも口腔内細菌が増加しやすい状況にあると考えられるため、口腔内細菌の増加の予防として就寝前の口腔ケアが有効であると考えられた。
(COI開示:なし)
(日本歯科大学倫理審査委員会、承認番号NDU-T2022-32)