[P45] 味覚障害を契機に転移性脳腫瘍を発見した一例
【緒言・目的】
味覚障害の原因は様々であるが,原因を特定することは困難であることが多い。今回,味覚障害を契機に転移性脳腫瘍を発見した一例を経験したので報告する。
【症例および経過】
症例:76歳男性。既往歴:高血圧症.現病歴:20XX年Y―1月,味覚の低下を自覚した。同年Y月Z日,味覚障害と左舌前方のしびれ感を主訴に当科初診となった(第1病日)。初診時全身所見:1か月で10㎏の体重減少と背部痛があった。初診時口腔内所見:舌には少量の舌苔は付着していたが器質的異常や口腔乾燥はみられなかった。血液生化学所見:Zn:94μl/dL.細菌検査:Candida陰性。経過:体重減少を認めたため,全身検索を目的として第10病日当院総合内科へ対診した。同日施行したCT画像において,前立腺と肺に腫瘍を認め,脊椎に多発骨転移を認めた。第24病日総合内科入院となった。同日泌尿器科受診し,前立腺癌と診断され,ホルモン療法が開始された。第30病日気管支鏡検査により肺腺癌の診断となった。第31病日よりオキシコンチンが開始された。第32病日骨転移に対してランマークが開始され,第36病日より肩甲骨と胸椎の骨転移に対して緩和的放射線治療を施行した。疼痛コントロールに難渋したため,第51病日緩和ケア内科に転科となった。第71病日帯状疱疹発症により,肺癌に対する化学療法は中止となり,BSC方針となった。味覚障害,嘔吐が改善しないため,第77病日頭蓋内病変の精査目的で撮像された頭部造影MRIでは,小脳や橋,大脳に転移が明らかになった。第80病日から脳転移への緩和的放射線治療をおこなった。嘔気によるセルフケア困難のため当科では継続的な口腔衛生管理の介入をおこなった。第125病日永眠された。なお,本報告の発表について,代諾者から同意を得ている。
【考察】
歯科領域から味覚障害を契機に脳腫瘍が発見された症例は過去20年間に本症例を含めて3例と稀であった。味覚障害が主訴で歯科を初診で受診する機会もあるため,体重減少などの全身症状にも配慮し,疑わしい場合には該当科と連携し,全身検索を行う必要があると考えられた。(COI開示:なし)(倫理審査対象外)
味覚障害の原因は様々であるが,原因を特定することは困難であることが多い。今回,味覚障害を契機に転移性脳腫瘍を発見した一例を経験したので報告する。
【症例および経過】
症例:76歳男性。既往歴:高血圧症.現病歴:20XX年Y―1月,味覚の低下を自覚した。同年Y月Z日,味覚障害と左舌前方のしびれ感を主訴に当科初診となった(第1病日)。初診時全身所見:1か月で10㎏の体重減少と背部痛があった。初診時口腔内所見:舌には少量の舌苔は付着していたが器質的異常や口腔乾燥はみられなかった。血液生化学所見:Zn:94μl/dL.細菌検査:Candida陰性。経過:体重減少を認めたため,全身検索を目的として第10病日当院総合内科へ対診した。同日施行したCT画像において,前立腺と肺に腫瘍を認め,脊椎に多発骨転移を認めた。第24病日総合内科入院となった。同日泌尿器科受診し,前立腺癌と診断され,ホルモン療法が開始された。第30病日気管支鏡検査により肺腺癌の診断となった。第31病日よりオキシコンチンが開始された。第32病日骨転移に対してランマークが開始され,第36病日より肩甲骨と胸椎の骨転移に対して緩和的放射線治療を施行した。疼痛コントロールに難渋したため,第51病日緩和ケア内科に転科となった。第71病日帯状疱疹発症により,肺癌に対する化学療法は中止となり,BSC方針となった。味覚障害,嘔吐が改善しないため,第77病日頭蓋内病変の精査目的で撮像された頭部造影MRIでは,小脳や橋,大脳に転移が明らかになった。第80病日から脳転移への緩和的放射線治療をおこなった。嘔気によるセルフケア困難のため当科では継続的な口腔衛生管理の介入をおこなった。第125病日永眠された。なお,本報告の発表について,代諾者から同意を得ている。
【考察】
歯科領域から味覚障害を契機に脳腫瘍が発見された症例は過去20年間に本症例を含めて3例と稀であった。味覚障害が主訴で歯科を初診で受診する機会もあるため,体重減少などの全身症状にも配慮し,疑わしい場合には該当科と連携し,全身検索を行う必要があると考えられた。(COI開示:なし)(倫理審査対象外)