[P55] 口腔機能と「早食い」の関連性
【目的】
令和3年社会生活基本調査では20歳から65歳の食事時間の平均は91分となっており,平成8年の98分と比較すると7分短くなっている。いわゆる「早食い」は肥満などの生活習慣病との関連が示されているが,過去の研究の多くは,「早食い」をアンケートによる主観的方法により規定するのみで,客観的な食事時間と口腔機能の関連性を明らかにしたものは少ない。そこで本研究は,客観的に測定した試験食品の時間を用いて「早食い」と口腔機能との関連性を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は本研究の趣旨を理解し同意を得た成人65 名(男性35 名,女性30 名,平均年齢27.8±8.8歳)とした。咀嚼行動の測定には,ウエアラブル咀嚼回数計(bitescan®,シャープ)を用いた。試験食品(サトウのご飯150g,サトウ食品)の最初の一口をキャリブレーションに使用し,キャリブレーション後に試験食品の残量を測定した。測定後は残りの試験食品を自由に摂取させ,完食するまでの時間を総食事時間として,100gあたりの食事時間を計算した(100g食事時間)。口腔機能検査は,口腔湿潤度測定(ムーカス®,ライフ),咬合力測定(プレスケールⅡ®,ジーシー),舌圧測定(TMP-02®,ジェイ・エム・エス),舌口唇運動機能評価(健口くんハンディ®,竹井機器工業),咀嚼機能評価(グルコセンサー®,ジーシー)とした。統計解析は100g食事時間を従属変数,口腔機能検査項目を独立変数として,重回帰分析を用いた。
【結果と考察】
100g食事時間は口腔湿潤度及び舌圧と有意な相関を示した(口腔湿潤度:p=0.0096,β=-0.31,舌圧:p=0.037,β=-0.27)。しかしながら,総食事時間と咬合力,舌口唇運動機能,咀嚼機能検査においては有意な相関関係は認められなかった。 以上より,食事時間の短い人は口腔湿潤度と舌圧が高いことが明らかとなり,それらは食事時間に影響を与えることが示唆された。
(COI開示:なし)(広島大学 倫理審査委員会承認番号 E-2624)
令和3年社会生活基本調査では20歳から65歳の食事時間の平均は91分となっており,平成8年の98分と比較すると7分短くなっている。いわゆる「早食い」は肥満などの生活習慣病との関連が示されているが,過去の研究の多くは,「早食い」をアンケートによる主観的方法により規定するのみで,客観的な食事時間と口腔機能の関連性を明らかにしたものは少ない。そこで本研究は,客観的に測定した試験食品の時間を用いて「早食い」と口腔機能との関連性を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は本研究の趣旨を理解し同意を得た成人65 名(男性35 名,女性30 名,平均年齢27.8±8.8歳)とした。咀嚼行動の測定には,ウエアラブル咀嚼回数計(bitescan®,シャープ)を用いた。試験食品(サトウのご飯150g,サトウ食品)の最初の一口をキャリブレーションに使用し,キャリブレーション後に試験食品の残量を測定した。測定後は残りの試験食品を自由に摂取させ,完食するまでの時間を総食事時間として,100gあたりの食事時間を計算した(100g食事時間)。口腔機能検査は,口腔湿潤度測定(ムーカス®,ライフ),咬合力測定(プレスケールⅡ®,ジーシー),舌圧測定(TMP-02®,ジェイ・エム・エス),舌口唇運動機能評価(健口くんハンディ®,竹井機器工業),咀嚼機能評価(グルコセンサー®,ジーシー)とした。統計解析は100g食事時間を従属変数,口腔機能検査項目を独立変数として,重回帰分析を用いた。
【結果と考察】
100g食事時間は口腔湿潤度及び舌圧と有意な相関を示した(口腔湿潤度:p=0.0096,β=-0.31,舌圧:p=0.037,β=-0.27)。しかしながら,総食事時間と咬合力,舌口唇運動機能,咀嚼機能検査においては有意な相関関係は認められなかった。 以上より,食事時間の短い人は口腔湿潤度と舌圧が高いことが明らかとなり,それらは食事時間に影響を与えることが示唆された。
(COI開示:なし)(広島大学 倫理審査委員会承認番号 E-2624)