[P64] 北海道医療大学在宅歯科診療所における患者特性の実態調査
【目的】
北海道医療大学では,在宅ケアならびに多職種連携教育の拠点として2015年12月に北海道医療大学地域包括ケアセンターを設置,2019年5月にはさらなる有機的な連携を目的に北海道医療大学在宅歯科診療所を同センター内に開設した。
今回,当診療所において歯科訪問診療を実施した患者の診療録をもとに後ろ向き調査を行い,当診療所の患者特性やニーズの把握,今後の課題について検討したので報告する。
【方法】
2019年5月から2022年12月までに当診療所にて歯科訪問診療を行った389名(実人数)を対象とし,診療録から基本属性,基礎疾患,要介護度,申込者,同居の介護者の有無,訪問理由等を調査した。
【結果と考察】
対象期間中に歯科訪問診療を実施した患者389名のうち自宅への訪問(以下,自宅)は77名,自宅以外の施設への訪問(以下,施設)は312名であった。初診時の平均年齢±SDは自宅80.7±9.7歳,施設84.4±7.8歳,要介護度3以上の患者は自宅42.2%,施設59.4%であった。歯科訪問診療を要する原因となった主たる疾患は,自宅および施設ともに認知症、脳血管疾患後遺症が約半数を占めていた。対象患者の日常生活自立度では,自立が自宅5.5%,施設0.3%,Iが自宅34.5%,施設13.8%であった。自宅患者は施設入所者と同様に介護を必要とする者が多いが,認知機能は比較的保たれているため,自宅での介護サービスが整っていれば自宅での生活が可能な者が多いと考えられる。
自宅での歯科訪問診療の申込者はケアマネジャーが最も多く51.3%,訪問診療に関わっている他の医療・介護職が21.8%,家族・本人が20.5%であった。自宅患者の81.8%に同居介護者がおり,そのうち配偶者が最も多く47.6%であった。患者の大部分は後期高齢者が占めており同居介護者である配偶者は患者と近い年齢の者が多いと推察されることから,歯科訪問診療をはじめとした必要なサービスへのアクセスにはサポートが必要であり,多職種でのシームレスな連携が重要であると考える。これらのことから,今後さらに地域の多職種との連携手段の構築を図るとともに,多職種連携教育の充実が重要であることが示唆された。
(COI開示:なし)
(北海道医療大学予防医療科学センター倫理委員会 倫理審査承認番号 第2022-015号)
北海道医療大学では,在宅ケアならびに多職種連携教育の拠点として2015年12月に北海道医療大学地域包括ケアセンターを設置,2019年5月にはさらなる有機的な連携を目的に北海道医療大学在宅歯科診療所を同センター内に開設した。
今回,当診療所において歯科訪問診療を実施した患者の診療録をもとに後ろ向き調査を行い,当診療所の患者特性やニーズの把握,今後の課題について検討したので報告する。
【方法】
2019年5月から2022年12月までに当診療所にて歯科訪問診療を行った389名(実人数)を対象とし,診療録から基本属性,基礎疾患,要介護度,申込者,同居の介護者の有無,訪問理由等を調査した。
【結果と考察】
対象期間中に歯科訪問診療を実施した患者389名のうち自宅への訪問(以下,自宅)は77名,自宅以外の施設への訪問(以下,施設)は312名であった。初診時の平均年齢±SDは自宅80.7±9.7歳,施設84.4±7.8歳,要介護度3以上の患者は自宅42.2%,施設59.4%であった。歯科訪問診療を要する原因となった主たる疾患は,自宅および施設ともに認知症、脳血管疾患後遺症が約半数を占めていた。対象患者の日常生活自立度では,自立が自宅5.5%,施設0.3%,Iが自宅34.5%,施設13.8%であった。自宅患者は施設入所者と同様に介護を必要とする者が多いが,認知機能は比較的保たれているため,自宅での介護サービスが整っていれば自宅での生活が可能な者が多いと考えられる。
自宅での歯科訪問診療の申込者はケアマネジャーが最も多く51.3%,訪問診療に関わっている他の医療・介護職が21.8%,家族・本人が20.5%であった。自宅患者の81.8%に同居介護者がおり,そのうち配偶者が最も多く47.6%であった。患者の大部分は後期高齢者が占めており同居介護者である配偶者は患者と近い年齢の者が多いと推察されることから,歯科訪問診療をはじめとした必要なサービスへのアクセスにはサポートが必要であり,多職種でのシームレスな連携が重要であると考える。これらのことから,今後さらに地域の多職種との連携手段の構築を図るとともに,多職種連携教育の充実が重要であることが示唆された。
(COI開示:なし)
(北海道医療大学予防医療科学センター倫理委員会 倫理審査承認番号 第2022-015号)