[課題1-2] 離島における老年者の口腔に関する医科歯科連携の現状調査と課題
【目的】
離島の老年者に関する歯科医療についての報告は少なくその実態は明らかではない。離島振興法対策実施地域の指定を受けた有人離島254島のうち三重県鳥羽市には4島(坂手島・菅島・答志島・神島)存在しており,その中で3島には歯科医院が存在しない。さらに高齢化率が70%を超えている島もある。各離島には市立診療所(内科)が存在することから,これまでに診療所医師と医科歯科連携を行ってきた。そこで今回われわれは,当院を受診した患者の中から離島に在住の65歳以上の患者の現状について報告する。
【方法】
当院を受診した2017年7月から2023年1月の5年6カ月の期間,患者1452名の内65歳以上の患者411名で離島在住の60名について診療記録から調査した。①性別・年齢,②全身既往歴,③内服薬,④残存歯数,⑤抜歯の有無,⑥欠損部補綴について,⑦初診時定期健診の希望の有無,⑧SPT,定期健診の有無,以上8項目について調査した。
【結果と考察】
男性26名女性34名で女性が多く年齢の中央値は77歳だった。60名の内7割以上の患者に全身既往歴があり対診がされていた。内科にて内服薬がひとり平均5種類処方されており,抗血小板薬ならびに抗凝固薬を内服している患者は14名,BP製剤の内服または注射が5名であった。無歯顎者は8名で実に8割以上が有歯顎者で1人平均現在歯数13.3±13.1(本)だった。保存不可と診断され抜歯術を施行したのが27名,ひとり平均3.1本だった。上下顎いずれかに3歯以上の欠損が生じていて補綴が必要な患者が46名,可撤式義歯が使用されていたのが33名でインプラントが3名,何も補綴がされていない,または義歯はあるが使用していないのが23名だった。初診時に定期健診を希望した患者は5名で最終的にSPTまで通院して定期健診受診している患者は半分の30名だった。離島振興法四条2項に医療の確保等,高齢者の福祉等が明記されているが,離島というその性質上,地域包括ケアシステムを構築していく中で様々な問題を抱えている。離島に限らず,これから全国各地で人口減少が進み,へき地医療の環境はますます厳しくなることが予想される。そこには問題解決に向けて積極的な行政の介入ならびに官民の連携,多職種連携が求められ,ICTの活用といった早急なネットワークの設立とシステムの構築が必要である。そこで離島医療を支える一助として「バーチャル離島病院構想」としての取り組みも紹介する。(COI開示:なし)(倫理審査対象外)
離島の老年者に関する歯科医療についての報告は少なくその実態は明らかではない。離島振興法対策実施地域の指定を受けた有人離島254島のうち三重県鳥羽市には4島(坂手島・菅島・答志島・神島)存在しており,その中で3島には歯科医院が存在しない。さらに高齢化率が70%を超えている島もある。各離島には市立診療所(内科)が存在することから,これまでに診療所医師と医科歯科連携を行ってきた。そこで今回われわれは,当院を受診した患者の中から離島に在住の65歳以上の患者の現状について報告する。
【方法】
当院を受診した2017年7月から2023年1月の5年6カ月の期間,患者1452名の内65歳以上の患者411名で離島在住の60名について診療記録から調査した。①性別・年齢,②全身既往歴,③内服薬,④残存歯数,⑤抜歯の有無,⑥欠損部補綴について,⑦初診時定期健診の希望の有無,⑧SPT,定期健診の有無,以上8項目について調査した。
【結果と考察】
男性26名女性34名で女性が多く年齢の中央値は77歳だった。60名の内7割以上の患者に全身既往歴があり対診がされていた。内科にて内服薬がひとり平均5種類処方されており,抗血小板薬ならびに抗凝固薬を内服している患者は14名,BP製剤の内服または注射が5名であった。無歯顎者は8名で実に8割以上が有歯顎者で1人平均現在歯数13.3±13.1(本)だった。保存不可と診断され抜歯術を施行したのが27名,ひとり平均3.1本だった。上下顎いずれかに3歯以上の欠損が生じていて補綴が必要な患者が46名,可撤式義歯が使用されていたのが33名でインプラントが3名,何も補綴がされていない,または義歯はあるが使用していないのが23名だった。初診時に定期健診を希望した患者は5名で最終的にSPTまで通院して定期健診受診している患者は半分の30名だった。離島振興法四条2項に医療の確保等,高齢者の福祉等が明記されているが,離島というその性質上,地域包括ケアシステムを構築していく中で様々な問題を抱えている。離島に限らず,これから全国各地で人口減少が進み,へき地医療の環境はますます厳しくなることが予想される。そこには問題解決に向けて積極的な行政の介入ならびに官民の連携,多職種連携が求められ,ICTの活用といった早急なネットワークの設立とシステムの構築が必要である。そこで離島医療を支える一助として「バーチャル離島病院構想」としての取り組みも紹介する。(COI開示:なし)(倫理審査対象外)