[認定P-05] von willebrand病患者の重度慢性根尖性歯周炎に対する抜歯を行った症例
【緒言・目的】
von willebrand病(type2A)は、出血時間の延長を特徴とし、von willebrand因子(VWF)の量的異常および質的異常を伴う遺伝性血液疾患である。今回、外来診療において、血液内科との医科歯科連携により術前にコンファクトFを輸注し、観血的処置(抜歯)を行った一例を経験したので報告する。
【症例および経過】
81歳、男性。食道癌、糖尿病、高血圧症の既往があり、食道癌については、非開胸食道亜全摘を行っている。家族歴としては、患者の姉がvon willebrand病の既往がある。2023年8月咀嚼障害を主訴として来院。現病歴としては、当科受診以前から左下第二小臼歯、第三大臼歯、右下第一大臼歯に動揺があり、違和感があった。下顎義歯を使用しており、安定せず、抜歯適応となった。抜歯に際して、血液内科においてコンファクトFを輸注し、当科に来院。輸注前のVWF抗原量は、26.4%で輸注後は、381.8%。VWF活性は、輸注前が10%で輸注後は263.4%となった。処置前に感染予防のためにアモキシシリン250mgを内服し、12誘導心電図を装着し、モニタリング下で抜歯術を開始した。局所麻酔はアドレナリン含有キシロカインを使用した。浸潤麻酔後、義歯の取り込み印象採得を行い、増歯増床を行った。抜歯後に抜歯窩搔爬し、酸化セルロースを抜歯窩に挿入し、縫合を行い、義歯による圧迫止血を行った。止血に要した時間は、40分であった。その後、抜歯窩の上皮化を見ながら、義歯調整および新製を行う運びとなった。
なお、本報告の発表については、患者本人から文書による同意を得ている。
【考察】
遺伝性血液疾患の患者の抜歯を行ったが、血液内科との医科歯科連携を行うことで、止血時間の短縮を行うことが可能となった。止血操作においては、止血シーネの使用も考えたが、本症例では、義歯を使用していることを考慮し、義歯での圧迫止血を行った。また、義歯を使用することで、その後の食事等への配慮を行うことが可能となったと考える。
(COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)
von willebrand病(type2A)は、出血時間の延長を特徴とし、von willebrand因子(VWF)の量的異常および質的異常を伴う遺伝性血液疾患である。今回、外来診療において、血液内科との医科歯科連携により術前にコンファクトFを輸注し、観血的処置(抜歯)を行った一例を経験したので報告する。
【症例および経過】
81歳、男性。食道癌、糖尿病、高血圧症の既往があり、食道癌については、非開胸食道亜全摘を行っている。家族歴としては、患者の姉がvon willebrand病の既往がある。2023年8月咀嚼障害を主訴として来院。現病歴としては、当科受診以前から左下第二小臼歯、第三大臼歯、右下第一大臼歯に動揺があり、違和感があった。下顎義歯を使用しており、安定せず、抜歯適応となった。抜歯に際して、血液内科においてコンファクトFを輸注し、当科に来院。輸注前のVWF抗原量は、26.4%で輸注後は、381.8%。VWF活性は、輸注前が10%で輸注後は263.4%となった。処置前に感染予防のためにアモキシシリン250mgを内服し、12誘導心電図を装着し、モニタリング下で抜歯術を開始した。局所麻酔はアドレナリン含有キシロカインを使用した。浸潤麻酔後、義歯の取り込み印象採得を行い、増歯増床を行った。抜歯後に抜歯窩搔爬し、酸化セルロースを抜歯窩に挿入し、縫合を行い、義歯による圧迫止血を行った。止血に要した時間は、40分であった。その後、抜歯窩の上皮化を見ながら、義歯調整および新製を行う運びとなった。
なお、本報告の発表については、患者本人から文書による同意を得ている。
【考察】
遺伝性血液疾患の患者の抜歯を行ったが、血液内科との医科歯科連携を行うことで、止血時間の短縮を行うことが可能となった。止血操作においては、止血シーネの使用も考えたが、本症例では、義歯を使用していることを考慮し、義歯での圧迫止血を行った。また、義歯を使用することで、その後の食事等への配慮を行うことが可能となったと考える。
(COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)