[認定P-14] 進行性核上性麻痺患者に対して在宅で食を通して支援した症例
【緒言・目的】
進行性核上性麻痺は発症早期からの転倒を伴う姿勢保持障害と垂直性眼球運動障害を特徴とし,パーキンソニズムを呈する緩徐進行性神経変性疾患である。今回は,多職種と食を通じて支援した症例を報告する。
【症例および経過】
2020年11月進行性核上性麻痺の診断を受けた。診断時は食事摂取量も8割だったが症状の進行により2023年5月頃よりムセが増え3割摂取に留まっていた。1日3回吸引を行い,食事摂取量が低下したため口腔機能,嚥下機能の精査の為,訪問看護師より2023年7月当院へ診療の依頼があった。
初診訪問時,口腔内の上下義歯は不適の為未使用であったが,病状の進行により新製は困難と説明。嚥下状態は,現在摂取している食事を用いてご家族,訪問看護師,デイサービスのヘルパー・看護師,言語聴覚士(ST),ケアマネジャーの立会いの元,嚥下内視鏡検査(VE)を行った。安静時での唾液誤嚥は認めないが咽頭残留は認める。体幹保持困難,頸部後屈を認めるため,STにヘッドレスト付き車いすへの変更を推奨し,姿勢は改善された。一口量の減少,トロミは中~強トロミを推奨し食前後に吸引の指示をした。その後は,誤嚥性肺炎予防の為の専門的口腔ケア,月1回の嚥下機能評価を行うこととした。
2023年12月に肺炎により入院し栄養管理困難なため胃瘻造設。退院後,訪問診療再開したが,嚥下状態は悪化していた。VE検査の結果,食前後に吸引必須として1日1回1度に2口までのゼリーの経口摂取再開を家族,デイサービスの看護師に指示したが,2024年1月ゼリーによる嚥下反射は起きず咽頭残留のみ起こるため固形物の経口摂取は中止と診断した。ご家族と本人の口から食べたいとの強い希望により吸引を条件に棒付き飴を舐めていただき唾液嚥下を促すように指導した。現在も定期的な嚥下評価,口腔ケアは継続中である。なお,本報告の発表について患者家族から同意を得ている。
【考察】
神経疾患における多職種連携は,症状の包括的評価,総合的なケアの提供,治療の最適化,患者と家族の支援など,さまざまな面で重要であり患者のQOL向上につながると言える。(COI開示:なし)(倫理審査対象外)
進行性核上性麻痺は発症早期からの転倒を伴う姿勢保持障害と垂直性眼球運動障害を特徴とし,パーキンソニズムを呈する緩徐進行性神経変性疾患である。今回は,多職種と食を通じて支援した症例を報告する。
【症例および経過】
2020年11月進行性核上性麻痺の診断を受けた。診断時は食事摂取量も8割だったが症状の進行により2023年5月頃よりムセが増え3割摂取に留まっていた。1日3回吸引を行い,食事摂取量が低下したため口腔機能,嚥下機能の精査の為,訪問看護師より2023年7月当院へ診療の依頼があった。
初診訪問時,口腔内の上下義歯は不適の為未使用であったが,病状の進行により新製は困難と説明。嚥下状態は,現在摂取している食事を用いてご家族,訪問看護師,デイサービスのヘルパー・看護師,言語聴覚士(ST),ケアマネジャーの立会いの元,嚥下内視鏡検査(VE)を行った。安静時での唾液誤嚥は認めないが咽頭残留は認める。体幹保持困難,頸部後屈を認めるため,STにヘッドレスト付き車いすへの変更を推奨し,姿勢は改善された。一口量の減少,トロミは中~強トロミを推奨し食前後に吸引の指示をした。その後は,誤嚥性肺炎予防の為の専門的口腔ケア,月1回の嚥下機能評価を行うこととした。
2023年12月に肺炎により入院し栄養管理困難なため胃瘻造設。退院後,訪問診療再開したが,嚥下状態は悪化していた。VE検査の結果,食前後に吸引必須として1日1回1度に2口までのゼリーの経口摂取再開を家族,デイサービスの看護師に指示したが,2024年1月ゼリーによる嚥下反射は起きず咽頭残留のみ起こるため固形物の経口摂取は中止と診断した。ご家族と本人の口から食べたいとの強い希望により吸引を条件に棒付き飴を舐めていただき唾液嚥下を促すように指導した。現在も定期的な嚥下評価,口腔ケアは継続中である。なお,本報告の発表について患者家族から同意を得ている。
【考察】
神経疾患における多職種連携は,症状の包括的評価,総合的なケアの提供,治療の最適化,患者と家族の支援など,さまざまな面で重要であり患者のQOL向上につながると言える。(COI開示:なし)(倫理審査対象外)