The 35th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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認定医審査ポスター

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認定医審査ポスター

Fri. Jun 28, 2024 2:40 PM - 4:10 PM ポスター会場 (大ホールC)

[認定P-18] 経口摂取不可となった舌がん術後患者に対し,医科との連携と訓練指導により経口摂取再開となった症例

○石黒 光哲1、高橋 浩二2 (1. 昭和大学歯学部口腔健康管理学講座口腔機能リハビリテーション医学部門、2. 医療法人徳洲会館山病院口腔機能リハビリテーションセンター)

【緒言・目的】頭頸部がん治療後では,外科的治療による実質欠損や放射線治療による筋肉の萎縮など様々な要因により摂食嚥下障害を起こす場合が多い。中咽頭の創部瘢痕拘縮が鼻咽腔閉鎖機能不全をおこし咽頭圧の低下に起因すると思われる食道入口部の開大不全を認め経口摂取困難となったが,主治医と連携し訓練及び手術を行ったことで再び経口摂取可能となった一例を経験したため報告する。【症例および経過】66歳。男性。20XX年にA病院にて右舌縁がん(T3N2bM0)の診断にて右舌亜全摘術,右中咽頭側壁切除術,右全頸部郭清術、前外側大腿皮弁による再建と術後放射線治療を実施された。術後右舌咽神経麻痺による軟口蓋挙上不全と舌運動不良による構音障害を認めたため当科に紹介受診となり舌接触補助床の作製と言語訓練を行っていた。術後2年後,「のどの通りが悪い気がする」との訴えと半年間で11%もの体重減少率を認めたため,当科にて嚥下造影検査を実施。咽頭圧低下と思われる食道入口部の開大不全から不顕性誤嚥を認めたため経口摂取不可能と判断した。咽頭圧低下は右中咽頭側壁の瘢痕拘縮が強くなってきていることが原因と考えられた。A病院の主治医と対診を行い,手術による右中咽頭側壁瘢痕解除を実施することとなった。先立って栄養経路確保のため胃瘻造設を提案したが,「お腹に穴開けてまで食事をしたくない」との患者の意思を尊重し間歇的口腔食道経管栄養法(OE法)と食道入口部の開大不全に対するバルーン拡張訓練を指導した。習得には外来のみでは困難であったため入院下で集中的に行った。OE法と訓練の習得後,A病院にて手術実施。食道入口部の開大不全が軽減され再び経口摂取可能となった。なお,本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。【考察】本症例は胃瘻造設を推奨したものの患者本人が拒否したケースであるが,主治医とリハビリを担当する歯科医師が連携することで本人の意思を尊重しつつ,効果的な治療を行うことができたと考えられる。自身で胃管挿入を行うOE法と食道入口部開大不全に対するバルーン拡張訓練は外来通院では手技の習得が困難であったため,入院下で集中的に訓練指導を行った。そのため患者は短期間でOE法の実施に自信を持つことができ,毎食本手技実施にあたり良好なアドヒアランスを保つことができたと考えられる。(COI開示:なし)(倫理審査対象外)